異常。

保育器の中に入ったちなこの異常に、かーちゃんは気づいてました。
けどそれを認めるのが怖くて、口に出せませんでした。
生まれたとき聞いた声、確かに声を聞いたはずなのに、ちなこは泣き顔をしていても声を出していません。
黄疸の治療も終わったちなこ、どんどん元気になっていくはずなのに、目が虚ろで視点が合っていない。怖い怖い怖い。

ちなこがどうにかなってしまう!!思い切ってとーちゃんに言ってみました。
「ちなこ、泣いてんのに声が出てへん。目もおかしい。」
けど、とーちゃんの返事はこうでした。「泣いてる、ちゃんと泣いてるやんか。」
え?泣いてる?かーちゃんには聞こえへん。おかしい、うちおかしくなってしまったん?
今思うと、とーちゃんも必死で自分に「ちなこはおかしくない。」って言い聞かせてたんやね。

数日後先生から説明があり、「ちなこちゃんは先天性のぜい鳴です。心臓にも少し穴が空いているようです。ぜい鳴の方は新生児にはよく見られるもので、6ヶ月前後には自然に消えているでしょう。心臓の方はまた1ヶ月後にエコーを撮りましょう。」と。

心臓は新生児の3割位に見られるもので、1ヶ月後くらいには大概が異常なく塞がってしまうというのは、知っていたのであまり心配しませんでした。
そして、ぜい鳴というのも病気の本で調べると、先生の言うように6ヶ月前後には治ってしまうものだと書いてありました。

5日後、短いNICUの期間を終え、ちなこは普通の新生児室へ移りました。




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