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1998年6月、CNNはこのようなニュースドキュメントを放送しました。
"ベトナム戦争中の1970年9月、米軍の特殊部隊は共産ゲリラに協力する元米兵を掃討する目的で、国境から約100キロ入ったラオスの村でCBU-15神経ガス弾(CBU-15/A "sarin" nerve gas bomblets)を使用した。 作戦名は"追い風"(Operation "TailWind")。 この作戦の結果、100人以上の死者を確認した" この番組は衝撃をもって受け止められましたが、同時に当時を知る関係者から疑いの声がささやかれ始めました。 そしてCNNから取材を受けた人たちの間から、証言どおりに報道していないとの抗議がなされました。 さらに軍事的な検証が杜撰であると、CNNの軍事報道責任者が放映直後に抗議の辞任をしました。 内外の報道に対する疑いの声を無視できなくなったCNNは徹底した再検証を行いました。 結果、取材チームが確証を求めるあまりに反証を捨象したとの結論に達し、虚報への謝罪と共に再検証で明らかにされた取材の問題点を公表しました。 取材を行ったスタッフらはまず仮説を立てました。 「米軍はラオス領内で脱走兵を殺すため化学兵器を使ったのではないか?」 そして、仮説に合う情報のみを取捨選択し、仮説に合わない情報は無視したドキュメントを製作したのです。 たとえピューリッツァー賞を受賞した花形記者が新進気鋭のプロデューサーらと組み、8ヶ月間で200人以上の関係者に取材して作成した意欲的なドキュメント番組だったとしても、確証バイアスがかかっている状態では歴史に隠された真実を暴くどころか大誤報をもたらし、多数の人間の名誉を不当に傷つけてしまう結果になるのです。 --------- さて、朝日問題に移ります。 NHKに特定政治家が政治介入したとの記事を書いた記者は、以前から取材の方法がずさんで、偏見に満ちているとの評価がなされていました。 そのような人間が社会部次長にまで出世できる朝日新聞という会社もおかしいですが、それよりももっとおかしいのは、彼が表にでて釈明なり謝罪なり、または自分の取材に誤りが無かった事を証明しようとしない事です。 このようなことは、通常考えられません。 NHK側は、件の告発に絡んだ上司が堂々と「朝日の報道は事実ではない。私は政治家から圧力など受けてはいない」と発言しております。 また、政治家側も「朝日の報道は事実ではない。私は圧力などかけてはいない」と主張しています。 NHKも政治家側も、朝日に記事の根拠を提出するよう求めています。 しかし、証拠の提出にすら応じていません。 再検証など、する気も無いようです。 ちなみに、大誤報を起こしてしまったCNNの担当プロデューサーは全員解雇か責任をとって辞職し、湾岸戦争報道で名を上げたピーター・アーネット記者は戒告処分になりました。 CNNは自ら「報道のチェックとバランスが機能しなかった」と認め、「同じ過ちを繰り返さないため、内部チェックを強めたい」と表明しましたが、同様の姿勢を朝日新聞に求めるのは酷でしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年02月03日 04時38分29秒
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