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ちゃいにーずティー

ちゃいにーずティー

③小児科病棟

この小児科病棟はマッカーシーユニットといって、内科と外科に分かれている。HCAとして主にすることは、

1.赤ちゃんのミルク作り、そして、フィーディング(ミルクを飲ませる)
2.赤ちゃんのケア。主に、おむつ交換、沐浴、体交など
3.配薬された薬を確実に飲ませる
4.子供と遊ぶ

まあ、そんな感じで、ほとんど保母さんと同じような仕事になる。
ただ、他の病棟と違った所は、自分に患者さん(子供)が振り分けられることだった。そして、配薬以外のその日の責任、記録まで任されるのだ。もちろん、責任ナースがいて、問題があれば、相談に乗ってくれる。もともと、日本で看護師をしていて、HCAの仕事に物足りなさを感じていた私は、ここに来てかなりやりがいを感じ始めていた。

印象に残った赤ちゃんは、黒人の小さな巨人、キーア。
キーアのお母さんはエイズ患者さんで、キーアを7ヶ月半で早産した後もあまりキーアに構わず、夜な夜なクラブに出歩く生活を送っていた(全く、最近の子は…、と私はかなり憤慨していた)。
キーアは、不思議な子だった。
1人でも、泣かないのだ。生後6ヶ月、というのに1人で遊ぶのだ。
生まれてすぐにスカブー(SCBU-Special Care Baby Unit)に運ばれ、保育器で最初の3ヶ月足らずを過ごした彼は、1人でいるのが当たり前だと思っているように、他の赤ちゃんが1人にされると、ギャーギャー泣いてしまうのとは相反して、不思議なほど1人でいて平気な子だった。

でも、生まれて6ヶ月とはいえ、大きさは新生児と変わらない。そして、彼のエイズ抗体反応は彼が10ヶ月を過ぎるまで分からないのだ。
私は、反応がマイナスであるよう願わずにはいられなかった。
今頃は、もう彼の検査結果も出て、新たな治療が始まっているかもしれない。
キーア、頑張って、強くたくましく生きて行くんだよ。

そういうわけで、小児病棟はとても興味深かった。また、HCAとしての自分の責任も問われる分、今までイギリスに来てから他人任せで看護していた自分を振り返ることもでき、大変有意義に時間が過ぎていった。


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