カテゴリ:看護
淀川キリスト教病院の田村恵子さんの講演のつづきです
演題にある「余命18日」とは、淀川キリスト病院のホスピスでの平均在院日数を意識されています。1984年にできたホスピス病棟は、21床、1009年入院は402名、平均年齢69.7歳、平均在院日数16.3日、外来患者1349名、訪問看護依頼137件、入院相談1392件、症状緩和に力を入れ、長期入院ではなく在宅療養へと導いています。 緩和ケアはチーム医療であり、医師、看護師、助手、相談員、チャプレン、MSW(医療ソーシャルワーカー)、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、退院調整ナース(地域看護専門看護師)、皮膚排泄ケア認定看護師、栄養士、訪問看護師、ボランティア(ホスピスボランティア、音楽療法士、アロマセラピスト、グリーフカウンセラー)と多くの人がかかわります。 人は誰もが人生の終焉の時を生きるわけですが、がんの患者がなぜこのように、特別に緩和ケアが必要なのでしょうか 終末期がん患者が体験する症状は、全身倦怠感97.6%、食欲不振94.7%、痛み76.7%、 便秘75.2%、不眠63.1%、呼吸困難51.9%、悪心・嘔吐46.1%、せん妄31.6% (恒藤 暁、 最新緩和医療学より)と様々な症状が全身に出てくるので、専門的な知識や技術ができる緩和ケアが必要なのです。 食欲不振は、家族が心配されますが、患者によっては、「無理して食べなくてもいい」ということで、ホッとされます。 痛みは最もコントロールしやすい症状です。WHO(世界保健機構)除痛ラダーは、予後ではなく痛みの強さで薬剤を選択します。がん性疼痛の9割以上は、薬剤が解決してくれます。痛みがなくなると、食欲が出て、命は延びます。がんの痛みは医学の恩恵を受ける最大のものです。 あなどれないのが、便秘です。動けなくなり食欲がなくなることと、モルヒネの影響でおこります。 症状は全てその人の主観です。体験している患者にどれくらいの痛みであれば、日常生活ができるかなど、患者にとって「ちょうどいい具合」にマネージメントしてゆきます。そのため、受け手である患者や家族に積極的に参加してもらいます。 がん進行に伴って、身体だけではなく心にも変化があります。 たとえば、治療への不安、手術、身体機能の喪失、ボディイメージの変化などは、身体的な苦痛だけでなく精神的な苦痛やスピリチュアルな苦痛があります。 現代ホスピスの母と呼ばれるシシリー・ソンダース女史の『全人的苦痛トータルペイン』は、緩和ケアの概念になっています。田村恵子さんは、著書『余命18日をどう生きるか』の中で、「ちょっと極端な言い方をするなら、ホスピスケアってスピリチュアルケアがなければありえないと思っているのです。(P160 )」と書かれています。 【送料無料】余命18日をどう生きるか 次は、そのスピリチュアルケアについて・・・・・つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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