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2009/02/03(火)02:29

10mメッシュ(標高)の全国整備が完了

GIS(233)

地理空間情報の位置の基準となる「基盤地図情報」。 その提供内容が拡充された。 基盤地図情報は「地理空間情報活用推進基本法」第2条第3項の規定に基づく「地理空間情報の位置を定めるための基準」となる地図情報。 誰でも無償で使用できることから、GISでの利用が期待されている。 国土地理院はこれまで、全国の標高を記録した数値標高モデル(DEM:Digital Elevation Model)として50mメッシュ(標高)を提供してきたが、今回さらに高密度な数値標高モデルである10mメッシュ(標高)の全国整備が完了したもの。 2月1日から基盤地図情報としてデータの提供を開始された。 また都市計画区域については、より高精度な5mメッシュ(標高)を整備しているが、福島地区、濃尾平野地区、横浜及川崎地区、宮崎地区の整備も完了したことから、同時にデータの提供を開始した。 高密度のDEMが揃って無償提供となれば、それなりの反響はあるだろう。 ただし、いくつかの注意点はある。 最も大きいのがデータソースの問題だ。 今回の10mメッシュは、2万5千分1地形図の等高線から生成されている。 今までの50mメッシュとはDEM生成のためのアルゴリズムは一新されているが、データソースそのものはあくまでも2万5千分1地形図の等高線であり、それは50mメッシュの頃と変わらない。 つまり、今回のデータは高密度にはなっているものの、精度そのものが上がったわけではないということだ。 等高線以上の地形はでないため、2万5千分1地形図に反映されていないような微地形は高密度になったところで再現できない。 もちろん、なめらかさの点では今まで50mメッシュに比べて格段に優れており、印刷への対応などでは威力を発揮するだろう。 また、これと別に都市部を中心として5mメッシュの整備も行われており、順次公開されている。 ややこしいのは、2種類の5mメッシュが存在することである。 一つは航空レーザ測量による成果、そして一方が写真測量の画像相関による成果。 この2種類は整備地区が異なるが、データソースが違うことから、その性質も微妙に異なる。 10mメッシュも含め、これらのデータの性質の違いを知り、適切に使用することが重要になる。 特に、基盤地図情報は性格上「位置の基準」であるため、従来の2万5千分1地形図とは異なり、真位置でデータが取得されている。 一方、10mメッシュは2万5千分1地形図から作成されているため、転位・総描といった編集がされている。 地形図を作製する際には等高線にもそれなりの編集を加えることから、10mメッシュと基盤地図情報の位置が微妙に合致しない個所も出てくるものと思われる。 このように複数の異なるソースを持つデータが公開されていることから、データの相性や目的に応じたDEMの選択などは熟練していないとなかなか難しい。 今後はDEMに限らず、様々なデータを目的に応じてコンサルティングできるようなサービスが求められるのかも知れない。 地理空間情報の扱いは便利なようで、実は簡単ではないのである。

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