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カテゴリ:地球科学
21~23日と3日間、幕張で開催されていた日本地球惑星科学連合大会に参加してきた。
自分のスケジュールの都合でいずれも半日ずつの参加だったが、なかなか面白い発表を見ることができた。 21日は「ソーシャルメディアと地球惑星科学」をメインに。 このセッションはソーシャルメディアという「ツール」をいかに使うか、というテーマ。 アウトリーチなどで有効であることは多くの事例で示された。 昨年からの継続的な発表もあり、一つのテーマとして方向性もあるが、反面学術としての「目的」にはなりにくい(これはGISも同様だが)ので、今後どういった方向に発展していくのかがカギになるだろう。 22日は「地震学への提言」の総合討論を拝聴した。 震災以降、地震学の反省が高らかに宣言され、色々な部分での変化が期待されていたが… 正直な感想としては、なかなか学会の壁が破れていないな、というところか。 元来すべての責任を地震学が担う必要はない。 むしろもっと開かれた環境の中で、他分野、例えば地質学など地球科学全般や、工学、人文科学など分野横断的な取り組みがあって初めて減災は実現する。 そういう意味では、やや内輪の議論という印象が強かった(もちろん、それも無駄なことではない)。 23日は「人間環境と災害リスク」セッションへ。 どれも興味深い発表だった。 昨年と比べて割り当てられた会場が小さく、満員で立ち見がひしめく状態。 テレビカメラも入っており、注目の高さをうかがわせた。 特に志賀原発に影響を与える富来川南側断層の存在を訴える東洋大渡辺さんの発表が大きな関心を引いていた。 建築研究所都司さんの北海道におけるアイヌ口碑による津波の検証も興味深かった。 前日の地震学では「予知の可否」が議論の一つの焦点だったが、こちらのセッションはむしろ防災色が強く、立ち位置の違いを感じさせた。 名古屋大の鈴木さんの提案する「ハザードの要求水準」という考え方は、想定を防災サイドへゆだねるという仕組みで、体制作りはもちろん、より広い層でハザードを共有するという意味を持っており、これまでの常識を覆す画期的なものだと感じられた。 大会は例年、普段なかなか会えない方々に会うチャンスでもある。 特に今回はTwitterでつながって色々と議論していた皆さんとリアルでお会いする貴重な機会でもあった。 21日にはちょっとしたオフ会も実現して、多くの皆さんが異分野であることも考えあわせて、ソーシャルメディアが学術にとっても重要なコミュニケーションツールであることを認識させられた。 大会そのものは各セッションは中心となる学会があることから、連合大会とはいえ、なかなか異分野が議論するチャンスは少ない(ポスターセッションなどは重要な機会だが)。 もっと積極的な交流を促す合同セッションや学際的セッションがあってもいいように感じる。 日本地球惑星科学連合は基本的には自然科学の集まりであるが、地球科学の社会への還元には工学や人文科学も含めた大きな枠組みでの協働が必要で、特に防災などでは顕著だ。 今後はテーマごとに様々な切り口で議論できるような場を作っていくことも必要になるかも知れない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.05.24 00:25:33
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