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2012/06/29(金)01:04

登記所地図修正に着手 土地境界線、地殻変動でずれ 仙台

測量(174)

仙台法務局は東日本大震災に伴う地殻変動で、土地の境界線が移動するなどの問題に対応するため、登記所備え付け地図の修正作業に着手する。 震災後初の対象地区として塩釜市藤倉1丁目、同2丁目を選定し27日、現地事務所の開所式が開かれた。 登記所備え付け地図は国家基準点を基礎として測量した精度の高い地図で、土地の位置や区画を登記記録と一体となって特定する。 塩釜市の藤倉地区では震災後の地殻変動で土地の境界などに不規則なずれが生じており、同市が法務局に地図の修正を要請していた。 法務局によると、藤倉地区全体で東南東方向へ3.7メートル移動し、個々の土地の境界では事前調査で20~30センチのずれが生じた箇所が確認されている。 作業の実施期間は来年3月末まで。 住民説明会を行った後、土地家屋調査士が土地所有者立ち会いのもとで現地調査し、細部の測量を実施する。 同市海岸通の現地事務所開所式で、法務局の高村一之民事行政部長は「土地境界などのずれが震災からの復興の妨げとなる懸念があった。修正作業で復旧に貢献したい」とあいさつ。 出席した藤倉地区の町内会関係者らに作業への協力を呼び掛けた。 現地事務所は12月末まで開設し、土地所有者の相談などに応じる。 法務局は「精度の高い地図に作り直すことで、境界に関する争いを未然に防ぐことができる」としており、塩釜市を皮切りに県内各地で修正作業を実施していく方針だ。 (河北新報より) -------------------- 地殻変動による土地境界に係る問題は我が国では避けて通れない問題だ。 以前、測量機器メーカーの方とこの点について話をしたことがあるのだが、その時は「いずれ問題になりますよね」的な話だったのだが、震災での大きな変動でついに現実の問題として直面することになってしまった。 境界杭など、現実世界での土地境界と基準点をベースに座標そして管理される境界は測量時にはある程度一致していても、地殻変動があれば当然齟齬が生じることになる。 今回は地殻変動が大きかっただけに、その顕著な例となる。 土地所有者にしてみれば、はっきり目に見えているのは現実世界の境界のみ。 座標はあくまでもバックグランドの話になる。 しかし、土地登記が座標で管理することになれば、見た目上は「ここまでが私の土地、杭もあります」といったところで、土地そのものが動いてしまえば「いや座標情報からはあそこまでです」となってしまう訳だ。 図面での管理だとしても、基準点に基づいた測量が行われていればやはり矛盾が生じる。 早急に地図を作りなおすというのはこうした矛盾をいち早く解消しなければならないという事情があるからだ。 G空間社会が進むごとに、万物が数値化される傾向がある中、この問題はそのあり方に警鐘を鳴らす一例といえる。 地殻変動が原因で所有者同士のトラブルにならないためにも、こうしたケースを考慮した対策が重要になる。 基本測量や公共測量の世界ではセミダイナミック補正が導入されているが、土地境界については「見た目」が非常に重要な世界。 適切な対応がされることに期待したいが。 日本の土地は動くことを前提として管理すべきなのかも知れない。

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