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2014.09.04
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カテゴリ:災害記録帳
防災週間シリーズ第4回。第1回で東京湾を高潮が襲ったキティ台風を紹介したが、今回は大阪湾で高潮被害を出したジェーン台風について。1950年の今日(9月3日)大阪に四国に上陸後関西を襲っている。
1990年に公開された桑田圭祐監督作品の映画「稲村ジェーン」のタイトルの由来となったのがジェーン台風であり、映画の中でも伝説の台風として登場することでも知られる。

1950年8月30日、硫黄島の南西海上で発生したジェーン台風は9月3日、室戸岬東側を抜け、10時頃徳島県日和佐町付近に上陸した。
その後台風は淡路島を通過し、12時過ぎ神戸市垂水区付近に再上陸すると速度を上げて京都府舞鶴市付近から日本海に進み、4日の4時頃には北海道渡島半島に上陸、道内を縦断してオホーツク海へ抜ける進路をとった。
被害は死者336人、行方不明172人、負傷10,930人、家屋倒壊56,131棟、浸水家屋166,605棟(いずれも理科年表より)という甚大なものになった。

janes進路図.jpg
<ジェーン台風の進路図(大阪市HPより)>

全体として降水量は少なかった(ただし四国東部では期間降水量が200mmを越えた)が、台風の中心付近では強風が吹き荒れ、和歌山で最大風速36.5m/s(最大瞬間風速46.0m/s)を記録したほか、四国東部や近畿、北陸、東海で最大風速が30m/s前後の暴風となった。

大阪では最大風速は28.1m/s、最大瞬間風速は44.7m/sを記録したが、それ以上に台風の強風による吹き寄せで大阪湾や北陸沿岸で発生した高潮の被害が大きかった。大阪湾では潮位が満潮時より2.1m以上高くなり(最大潮位は干潮に近かった。もし満潮であればさらに0.4m上昇したとされる)、市内の30%が浸水した。
潮位そのものは1934年室戸台風に比べ潮位は低かったにもかかわらず、浸水面積では室戸台風を上回っている。

janehigai.jpg
<ジェーン台風による大阪の浸水範囲。赤数字と青数字はそれぞれ区ごとの死者数、住家流失・全壊数を示す(防災科学技術研究所HPより)>

その原因は、主として戦時中に地盤沈下が進んだことで、沿岸部の沈下量は室戸台風時からで1.5mにもなっていた。特に工業地帯が広がる淀川北岸域で顕著で、尼崎市では高潮が海岸から4km進入し、室戸台風の4倍の被害なったほか、西宮市の沿岸部が全面浸水した。

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<ジェーン台風による尼崎市の浸水範囲(尼崎市HPより)>

人的被害は室戸台風に比べて1桁小さかったが、これは当日が休日だったことで沿岸工場地帯に人が少なく、また昼の時間帯であったことが影響している。
また、米空軍による観測データが気象庁にも提供されるようになったことで台風の観測と予報の精度が向上したことも大きい。

大阪湾ではその後防潮堤の整備が進む。
尼崎では1955年に防潮堤が完成、1961年第二室戸台風では浸水家屋がでたものの、被害は隣接する西宮市よりも軽微であり、それ以外では浸水の頻度は減少した。
しかし臨海部の地盤沈下は、その後地下水汲み上げが行なわれなくなる昭和40年代半ばまで続き、防潮堤そのものも沈下してしまったことで、第二室戸台風時には場所によって完成時より1.6mも低くなっており、後に防潮堤の嵩上げが行われている。


大阪湾は1934年室戸台風、1950年ジェーン台風、1961年第二室戸台風とたびたび高潮に襲われており、今後も高潮に襲われる機会は必ずあるだろう。

高潮対策の中心はハード面では防潮堤の建造ということになる。
しかしキティ台風の高潮や東日本大震災時の津波がそうであったように、都市部では小河川や水路からの遡上を考慮する必要もある。また、堤防を高くすれば橋や道路のかさ上げが必要になる。

大阪では河口付近の防潮水門で高潮を止める方式が採られており、上流からの水はポンプで排水する。防潮堤の高さは最大でO.P.+8.1m、水門の内側の堤防高はこれよりも2.3m低くなっている。

ゼロメートル地帯の市街地は高潮に対して脆弱である。現在、大阪湾で標高0m以下の土地は65平方kmあり、近年高潮災害を経験していないことも不安材料の一つになる。
昨年のフィリピンにおける台風被害を見るまでもなく、高潮は時に甚大な被害をもたらす。ハード面の対策は進みつつあるが、高潮の怖さや自らの住む土地の特性を認識することも大切なことだ。

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<ゼロメートル地帯が広がる大阪湾岸部の地形(地理院地図より)>


なお、大阪湾の高潮に関しては、大阪湾高潮対策協議会がいくつかの資料を公開しているので目を通しておくことをお勧めしたい。





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Last updated  2016.03.06 13:22:27
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