2016/11/01(火)10:22
訪日客向けに標識や地図を再整備
訪日客向け標識や地図、字体や色に統一感 葛飾区など(NIKKEI STYLE)
2020年のオリンピック・パラリンピックを控えて、東京ではインバウンド対応が盛んに行われているが、その一つが標識(サイン)を分かりやすくする取組だろう。
葛飾区では2019年度までに区内全域で標識や地図などを再整備する計画を進めている。
駅前には地区全体の地図、交差点には公共施設の方向や距離を示す案内板の設置を進めており、昨年度は堀切エリアをモデル地区として26基の案内板や地図を設置した(今年度は青戸、亀有エリアで約60基を設置予定)。
従来は区の担当部署ごとにデザインが異なる標識や地図が設置されており、統一感がないため分かりにくかったうえ、景観を損なうとの意見もあったという。
今回の再整備では色や文字などの統一ガイドラインを策定、英語も併記してイメージ画を入れるだどの工夫がされているほか、地図の凡例については中国語やハングルも表示している。
さらに今後視覚障害者向けに音声で案内するシステムの導入も検討しているという。
東京都としても、観光客が多い地区(銀座や浅草、秋葉原など10地域)を中心に標識や地図の再整備を予定しているほか、外国語表記を統一するため、翻訳ルールも整えた。
準備は着々と進んでいるが、整備にあたっては色々と難しい点も多い。
いわゆるサインには国や地域の文化が反映されているケースが多いことから、万人にとって分かりやすいものを作るこのは簡単ではない。
実際、世界標準であるISOと日本で一般的に統一されているJIS規格で齟齬があるようなケースも見られる。
また、「外国人にわかりやすい地図記号」の検討の際にもさまざまな議論があったが、インバウンドを意識するあまりに日本人にとって分かりにくくなってしまうのも片手落ちというものだろう。
せっかく海外の方に来て頂くのだから、逆に日本の文化を知ってもらうような働きかけもあっていいのではとも考える。
たとえばサイン一つとっても、なぜ日本でそのデザインが定着したのか、由来を分かってもらえるような工夫があってもいい。
そういうことがコミュニケーションのきっかけにもなり得るわけで、悪くない「おもてなし」だと思うのだが。