ジューンブライド変化球(5)
愛知県における今年の梅雨は、いわゆる"陽性"の梅雨といってよいと思う。ジメジメせず晴れと雨がはっきりしているからそういわれるようであるが、確かに今年は週末にいい天気になるケースもあって、かの万博も相変わらずの盛況だ。そういえば、数年前の梅雨明け不明の一件以降、梅雨の入りと明けは「したらしい」というワケのわからない発表になってしまった。でも"陽性"の今年はホントにわかりやすい。入梅後のカラ梅雨が続いた後に四国や九州にいたってはあの集中豪雨であるから、いかにもバランスが悪い。メリハリがありすぎである。まるで大量得点で勝った好きなプロ野球チームが翌日に僅差で負けたりすると、「なんで昨日の打点を今日使わないんだ!」などとワケのわからないことを言ってしまうのと同じだ。しかし、気象に関してはそんな冗談言ってられないわけで、何ごともほどほどが一番。時には激しいのもアリだが、いつもはしっとり。そして時には晴れやかな気持ちにさせてくれるのが、天気も音楽も一番だと思うのだがどうだろうか。TITLE:Be HappyARTIST:BOSSANOVA CASSANOVARELEASE:1995/05/24CD NUMBER:EGDL10010LABEL:EASTERN GALEACQUISITION(入手容易度):☆☆☆(ベスト盤で・後述)STUPIDITY (バカバカしさ):☆CURIOSITY (ヘンテコ度):☆さてさて更新遅れのジューンブライド記念・変化球ソングコレクションの第5弾は、男性ツインデュオボサノバ・カサノバの10年前のシングルCDである。誰のためでもない あなたのために誰のためでもない あなただけのために誰のためでもない 二人のためにBe Happy試聴はこちら(要RealAudio)曲中なんどもリフレインされるコッテコテなフレーズだが、なんともいえない艶っぽさがある。この曲も従姉妹の結婚披露宴の最初の入場の時に使っていただいたが、何より本人達がいたく気に入ってくださったのだ。選曲者冥利に尽きる。ボサノバ・カサノバはSho1こと田村庄一氏と吉澤秀人氏によるユニットで、まもなく結成20周年を迎えようというベテラン達である。公式のHPはまったく見当たらないのだが、FM愛知ではこちらの番組を担当している。当然というか、スポンサーは以前CMソングも担当した結婚式場である。さきに入手可能度を診断しておくと、当然ながらシングル盤はとうに廃盤で、それもそのはずレコード会社すら存在しない。社名にしてレーベル名にもなっているイースタンゲイルとは直訳すれば「東方旋風」ということで、すなわち日本という極東の国から新しい音楽の風を送り出そうということだったのだろうが、残念ながら私の所蔵する月刊De-View増刊『芸能界 ●●●(●内は年ごとにかわる数字)社コレクション』の95,96年版にエントリーされたものの、その後の掲載がなくなってしまった。徳永英明氏が長く在籍したアポロンという会社もそうだったように、会社整理されてしまっているようである。・・とまぁ、まるで入手困難のように書いてしまったが、もともと販売元であったビクターが版権を管理しているので、こちらのベスト盤で入手可能である。上記試聴もできるので、お試しいただきたい。とはいってみたものの、ほっけ個人としては、このベストアルバムよりもインディーズで発売された"Kewpie"のほうがオススメである。紹介曲"Be Happy"は収録されていないものの、全編がアコースティックセルフカバーに加え彼らのショートコントまでオマケに収められている。彼らはギャグもやるのだ。セルフライナーのリンクを発見したのでこちらも参照していただけるといいだろう。メジャーに染まらずにわが道を行く音楽人としての苦悩は、オレは、ボサカサで歌を歌いたいだけなんです。それも人の為に歌うのでなく、自身の為に歌えなければ人に伝わるはずもない。自分に自分の歌が伝わなければプロ・シンガーとして失格だと思ってます。という独白からも窺い知ることができる。こんなこと考えながら歌っているチャート常連のシンガーが何人いるだろうか。なかなかのいぶし銀なアーティストである(でもその実態は、オモロいおっさんだけどね~♪)。しっとりと恋歌を15年以上も綴りつづけ、それでいてギャグもやればラジオのDJもやる。今年の梅雨ではないがメリハリは抜群だ。売れてほしいけど、売れてほしくない。そんな自分の胸に秘めておきたいアーティストである(特に女性向け)。ちなみに、"Kewpie"をはじめとするインディーズ盤の紹介はこちらからどうぞ。