2006/01/31(火)07:15
復活。大人向"コドモバラエティ"(7)
決してネタ切れの時に登場しているワケではない『ウゴウゴ・ルーガ』にまつわるCDの数々ですが、そのCDと同様に番組のコーナーにも"アタリ・ハズレ"があります。今回はその"ハズレ"の方をあえて晒します。
TITLE :ステキにオーマイガァー
ARTIST :J.P.N-08(with JANN JAKA SYSTEM)
RELEASE:1993/04/01
CD NUM :VPDB20496
LABEL :VAP
ACQUISITION(入手容易度) :☆
STUPIDITY (バカバカしさ):☆☆☆☆☆
CURIOSITY (ヘンテコ度) :☆☆☆☆☆
今回のCDは、関西弁をしゃべるオヤジがウゴウゴとルーガにバンド指導を行うコーナーの中での使用曲でした。確かに使用されていたことは事実ですが、この曲がはじまると、自由奔放に二人はわめきだすのでイントロ以外ははっきり言って無意味な楽曲と言い切っていいかもしれません。むしろこんな曲が使われていたことはどうでもよく、きっとアナタも毎回繰り出されるオヤジの寒いダジャレのほうに耳を集中させていたことでしょう。
実をいうと、このCDからは小学生9名がデビューしているのですが、そんなことも番組の中からはうかがい知ることはできません。おそらくジャケットの二人がウゴウゴとルーガの後ろに居たであろうことは想像がつきますが、あとの7人についてはこのCDに封入されているメンバーリストを見ないとさっぱりわかりません(またの機会にアップロードします)。当時の9人の平均年齢が8.9歳ですから、いかに若いかがわかります。もっとわかりやすくいうと、最年少の2人は、2006年に成人式を迎えるのです。
で、このCDがリリースされたことを紐解く鍵が「J.P.N」というキーワードです。JPNとはジャンジャカ・パフォーマー・ネットワークの略語。ジャンジャカとは、ヤマハが当時開発したバンド演奏支援システム"ジャンジャカ・システム"を指しているようで、要は細かいことにとらわれず音楽、スポーツ等、幅広くジャンジャカ楽しもう!という集団(CD裏面文引用)だとか。ちなみに当時、今後もいろいろな分野への積極的なアタックが予定されている(同)となっていますが、その後のアタックについてはまったくわからないままです(もう1枚、CDのリリースがあったようです)。ちなみにCDリリースから間もない4月10日にはジュリアナ東京でコンサートをされたようですが、たった持ち歌2曲で体力もなにもあったもんじゃないおこちゃまが、どこまでパフォーマンスできたのかは興味があります。
ジャケット裏面のはしがき。圧縮の都合で字の荒いのはご勘弁を・・。
で、結局このシステムでヤマハは何がやりたかったのだろうか・・。
ヤマハと聞いて連想されるものといえば、ポプコンであったりコッキーポップであったり、あるいはのちにTOKYO FMが後援したミュージッククエストであったりするんですが、私が昔からヤマハに対して、特にアーティストに関して思っていることのひとつに、発掘上手の育て下手というのがあります。
見つけてきても育てられないようではダメなんです。例えば、広島出身のThe Oystersなんかはミュージッククエストの1995年日本大会でグランプリを受賞しますが、いま彼らの活躍どころか消息をどれだけの方が知っているでしょうか?これはまるで、電波少年で救われたアーティスト達以下の扱いです。少なくとも猿岩石やサムシング・エルスは「ああ、いたね」と想いだしてもらえるレベルにとどまっています(一応ブルーム・オブ・ユースも付け加えておこう)。中島みゆき女史とチャゲ&飛鳥以外でヤマハのキラーコンテンツといったら、私はピアニストの西村由紀江女史ぐらいしか思いつきません。それぐらい育っていないのです。
もともと楽器メーカーとしての歴史が長いヤマハですから、エレクトーンを通じて若い電子オルガン奏者の育成には余念がなく、テレビ朝日系でもエレクトーンの番組があったぐらいです。しかしそのブラウン管に映るのはほとんどが子供達ばかりでした。私にはそれとジャンジャカシステムが重なり合ってみえるのです。難しいことを考えずにBANDをやろう!という意図は、ウゴウゴやルーガを通じて伝えたかったは確かなのかもしれませんが、あのコーナーではなにわのダジャレおやじのキャラクターがジャンジャカシステムのインパクトを大きく上回っていたことは事実です。
もう一つ辛口な言い方をすれば、ピアノ売場で必ずといっていいほど「ネコふんじゃった」に興じる子供の音楽が雑音にしか聴こえないのと同じで、このCDも、200名のオーディションから選ばれた子供たちは楽しくて(親は我が子のCDデビューが嬉しくて)仕方ないでしょうが、はっきりいって音楽になっていません。妙に背伸びした歌詞もラップ調で、作家のやっつけ仕事と言われても仕方ないパフォーマンス。これではコレクターズアイテムの域を出ないでしょう。
それでもこのCDを欲しいという奇特なアナタは、オークションをあたることになるでしょうが、ほとんど出品がありません。強いていえば中古CDショップの方が出やすいといえますが、それも過度な期待できません。もともとソレぐらいの作品ですから、あまり期待しないほうがよいでしょう。運良く見つけたら、徹底的にネギってから「買い」です。
今回は珍しく、かなり辛口に斬らせて頂きました。