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chocolate babe

洗礼

結婚する予定の男はかなりの強い信仰心を持つクリスチャンだった。どうやら改宗してクリスチャンになったようだが(モスリム家族出身)、これがまたちょっとやっかいで、彼の宗教はギリシャ正教会。カトリックでもなければプロテスタントでもなく、日本では珍しい。カトリックの高校に通っていた私は、多少キリスト教の事は知っていたものの、カトリックともちょっと違う。基本的にお酒は飲んでよし。ただ、結婚する者と同じ宗教でなければいけない。おおざっぱに言えば『同じ宗教でなければ考え方が食い違ってきて喧嘩になる』、というわけらしい。

結婚をとにかく急いでいた私たち。でも改宗するにはこの宗派の事を知っていなければいけない。ということで、忙しい中時間を割いては教会に行き、勉強会をした。十字の切り方はこれまたカトリックとは違うし、ギリシャから来ているせいか、「アーメン」とは言わず、「アミン」と言う。「イエス・キリスト」とは言わず、「イイスト・ハリストス」と言う。

毎週日曜日にはお祈りをしに教会へ行った。これがまた妊娠している私にとっては苦痛だった。ただでさえつわりを感じる時なのに教会に行って立ちっぱなし。説教を聞けるような状況でもない。ただでさえ妊婦は眠たいのに、日曜日も朝早くから起きなければいけない。辛かった。

結局結婚する前に私は洗礼を受けてクリスチャンになった。クリスチャンになったからといって特に生活が変わったわけでもなく、ただ毎週日曜日は教会に行ったり、教会の行事がある時は参加したり、といった程度だった。お祈りを進んでする、ということもしなかったし。ただ、例えばクリスマスだとか年越しの時は、男と一緒に神に祈ったりもしたが、それ以前に私は結婚の為にクリスチャンになっただけ。ハッキリ言って『なんちゃって』もいいとこ。自分で進んでならない以上、特に信仰心が強くなるわけでもないし、神様を信じているわけでもない。ただ、仏教徒ではなく、クリスチャンなだけ。

でも、今では別に自分がクリスチャンでよかったかな、とも思う。私が出会う外国人は大抵クリスチャン(モスリムもいるけど)。クリスチャンになったおかげで少しは宗教について考えるきっかけができたし、クリスチャンと言うだけで結構ウェルカムされるし、会話をするきっかけにもなる。また、教会の人たちは本当に温かい。宗教によって人とのつながりができるのも悪くはないかなぁと思う。いずれは本当に神様の存在を知ることがあるかもしれないしね。ただ、やっぱり宗教心薄い日本で生まれた私は、やっぱり今も神様を信じる前に自分を信じる事が一番だと思ってるけど。


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