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chocoolique の世界あちこち日記

■裁判です!




簡易裁判編 ★アメリカで交通裁判★


2002年10月4日午後2時44分。忘れもしないあの 事故 は起こった。

救急車とともに駆けつけたのは一台のパトカー。意識確認として私に大統領の名前を質問したのは救急隊員であったが、それと平行して行われた尋問が、警察による事情聴取であった。ストレッチャーに乗せられて救急車に運び込まれた私ではあったが、実は、ピンピンしていた。現場の状況も鮮やかに覚えており、聞かれるままに事実をハキハキと語ったのであった。

氏名、住所、電話番号。身長、体重、誕生日。髪の色と目の色は聞かれるまでもなくブラックと記入された。しかし人種の欄でやや躊躇した様子だったので、私は、ジャパニーズですからと教えた。

次に警察官が聞いた。「信号の色はどうでしたか」。私は答えた。「信号はありませんでした。ストップサインだけでした」。すると警察官、「ノゥノゥノゥ! 信号はありましたよ! 赤でしたよ!」 鬼の首を取ったかのように言う。えええ? 信号なんてありませんでしたけど?

しばしのひと悶着であったが、どうやら、私の視野の外に信号はあったらしい。そしてその色は赤だったらしい。

とにかく一通り記入し終えると、警察官は私に小さな黄色い紙を手渡しながらこう告げた。「11月15日に裁判がありますから来てください、いいですね」。


(中略)


病院を後にした相棒と私は、まずは事故現場に直行した。なんとかは現場に戻るというやつである。そして、私は愕然としたのだった。ある! 信号が、ある! しかも3機も!

激写する相棒を尻目に私は、違う、ここは違う、現場ではないと首を振る。しかし、ふと路上を見やると、私が落としたと見られるミネラルウォーターのボトルが道端にひしゃげて落ちているのだった。ガーン。

やはり事故は事実だったのだ――。包帯でぐるぐる巻きの左腕を押さえながら、警察官に渡された裁判への召喚状に再び目を通す私。と、そこで、またもや愕然とするのだった。

11月15日といえばマイアミでバケーションの真っ最中ではないかっ!

翌週、新たに入手した (が、中古の) マウンテンバイクにまたがると、私は裁判所へと向かった。裁判の日程を変更してもらうためである。もちろんマイアミとは言わず、重要な用事があるので、ということにして。そしてこれが大成功。11月12日ということで予定を組みなおしてもらうことに成功した。

そうして迎えた当日。心配した友人 (注: 相棒ではありません) が仕事を休んでついて行ってあげようかと提案してくれるも、裁判に参加できるのは本人のみ。ありがたいが大丈夫ですと断わり、ひとり自転車で駆けつけるのだった。

そしてひとり受付へ。心細さよりも好奇心が先に立ってしまい、またもやドーパミン噴出の私。裁判の行われる部屋は○○番ですよと教えてもらい、ベンチに腰掛け順番を待つ。不安そうに座る男子が一名。スピード違反らしい。別の男子がやってくる。飲酒運転らしい。…それでは、私が、なぜ、ここに???

ようやく把握できた。ちょっとした交通裁判がここでまとめて行われるのである。ドアをそうっと開けて今行われている裁判の様子を見る。傍聴人らしき人々。いや、これらのほとんどが裁判の当事者なのである。すっかり打ち解けた私とスピード違反者&飲酒運転者も、裁判室の中へ入ると、空いている席に着いた。

私は改めて室内を見渡す。よく Court TV なんかでやっているのと同じ造りの部屋に、やはり同じような衣装の裁判官。被告人は名前を呼ばれると、前に進み出て宣誓、事実確認、そして罰金の金額が言い渡されるのであった。弁護士を伴っている人もいたが、効果のほどはわからなかった。

30分も経ったであろうか。ようやく私の名前が呼ばれた。私が壇上に立つと、裁判官が事故の状況を読み上げた。「○月○日○時○分。○○通りと○○通りの交差点の歩道を自転車で走行中、黒のアウディに衝突、(中略) 以上、事実に間違いはありませんか」。

私は答えた。「いいえ、裁判官様。それは間違っています」。

私は歩道を走っていなかった。路肩だった。そして私は (悲痛な面持ちを作りながら) 付け加えた。事故の衝撃で今でも腕が重いんです。すると裁判官は、同情の眼差しでこう続けた。「ええ、わかります…。しかし交通規則は交通規則なのです。この場合の罰金は150ドルになります。不服があれば上告できますが、どうしますか」。

「不服です」。私は答えた。なぜなら、そんな大金、払えないからである。

私はひとまず裁判所の秘書と話しをすることになり、別室に通された。上告する場合は、事故現場に立ち会った警察官を相手に争うことになる。私は秘書に率直に聞いた。今までのケースでの勝訴率は。私のような外国人が裁判するに当たって、ビザの問題に影響があるか。

すると秘書は答えた。「残念だけど、敗訴するケースがほとんどね。ビザのことはわからないけれど、大丈夫なのでは」。じゃあ、上告するのとこのままと、どっちが得だと思う??? 「このままでしょう」。

そうか。納得した私に、もう少し調べてみるからと秘書は言い、私は裁判室に戻った。再度私の名前が呼ばれ、裁判官が改めて書面を読み上げた。私は言った。「上告しないことにしました」。そこで、先ほどの秘書が口を挟んだ。「自転車での交通違反の場合、blablabla… よって、40ドルになります」。

さっきは150ドルだった罰金が、40ドルに軽減されているではないか。

このからくりは私にはよく理解できなかったのだが、私の場合、自動車ではなく自転車での交通違反だったということで、法律の穴の穴をくぐることができたようであった。

「ありがとう、裁判官様」。そう言うと、私は裁判室を後にした。


↓お会計↓

罰金40ドル+裁判手数料18ドル+税金11ドル=計69ドル
(各種カードにて支払い可)



↓学んだこと↓

アメリカでは当たり屋稼業は繁盛しません。





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