chocoolique の世界あちこち日記

2005/04/02(土)05:08

アメリカのサービス■後編■

考察(20)

胡椒ひきの一件から、アメリカでは言ったモン勝ち、と学んだ私。 いや、かなり前から、言いたがりの傾向はあったのだが、言っても悔しい思いをしてしまうことが間々あった。特に日本では、出る杭は打たれるの諺どおり、言ったこちらが悪者にされてしまうことすらある。どこをどう考えても相手の側に非がある、という場合でさえだ。それで一度ひどくいやな思いをしたことのある私は、ここ数年は、だから、努めて地味に暮らすようにしてきた。買ったばかりのパンの底に緑のカビが生えていても、これは何かの間違いに違いない、と、見なかったことにしてきたのだった。 が。もはや違う。少なくともここアメリカでは、買った品物がやはり気にいらないからと返品するのはごく当たり前のことであり、開封後、動作に問題があるような気がするからと返品するのも (アプローチの仕方にもよるが) 迷惑行為でもなんでもないのだ! 私も、それに倣うのだ! 先日は、ネット通販で購入した鍋に大いに問題があった。鍋自体は最高のコンディション、私のひょろ長い顔がビヨーンと幅広に映るくらいのピカピカの絶好のコンディションだったのだが、肝心の、オーダーした商品とは異なる商品が届いてしまったのであった。蓋の取っ手が素敵なお魚の形をしているはずなのに、箱を開けて取り出したものといえば、ま~るい、何の変哲もない取っ手のついた蓋。私が間違えて発注してしまったのかと、急いでPCを立ち上げ、発注書のハードコピーを確認するも、こちらに誤りはない。 先方のミスだった。 このお鍋の発注に関して、私の気合の入れようといえば、すさまじいものがあった。お気に入りの鍋メーカーのものなのだが、インターネットでその期間限定の新商品を見つけるやいなや、市内の販売店に出向き、大きさ、重さ、発色、持ち重りの具合、手になじむ具合など、もろもろをチェックして、注文したのだった。アメリカでは一般的に、店頭で購入する商品には消費税がかかる。しかしインターネットで購入するものには (カリフォルニア州などの一部の州を除き) 税がかからない。コロラドの消費税率は7.6%だから、ときとして、結構な金額を納めることになりかねない。だから、多少の時間がかかっても、ネットで購入することを決めたのだった。送料が無料というのも大きなポイントだった。 そんなわけだから、箱を開けたときに私が受けた衝撃がどれほどのものであったか、おわかりいただけるだろう。 私はひとしきり呆然とした。それからメールを書いた。迅速な発送ありがとうございます、しかしながら、届いた商品が間違っておりまして……うんぬん。この時点では、私は、先方の態勢がどのようなものかわからない。だから、丁寧かつ、こちらの要求ははっきりと書くことにした。本当はいつ届いてもよいのだが、この週末に使いたい旨、書いておくことにした。そのメールを送信したのは、荷物を受け取ってから30分後、水曜日の夕方のことだったから、翌朝である木曜日の午前中までに返事がもらえればいいと私は思った。 が。驚いた。ものの20分と経たないうちに、返信が届いたのである。謝罪の言葉に続くのは、正しい商品はすでに発送しました、間違えて送った商品は週明けにでも業者がピックアップに伺います、重ね重ねご迷惑をおかけします、との内容であった。 アメリカの会社とやりとりをする場合、かなり簡素な表現を用いられることが多いのだが、今回のは、きちんと、改行も入った、どこからどう見ても謝罪のお手紙、という形が取られていたのだった。私は感動した。配達のおにーちゃんにチップを払って損こいた、などという気持ちは瞬く間に吹っ飛んだ。エレベーターが壊れているのに苦労して4階まで運んでくれてアリガトウね、とねぎらってしまい損こいた、などという気持ちはどこかへ消えていったのだった。 今回の対応は、アメリカに限らず、ごく普通のやり方であったかもしれない。が、私の気分がよくなったことは確かであり、アメリカ人もやればできるじゃないか、いままで評価が低くて悪かったね、と考えを改めたことは確かなのである。 お鍋が、はやく届くといいな。 オチなし。長文駄文にて失礼しました。

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