ぐらのちょこ劇

振付家、そしてダンサーの金森穣が率いるNoism05の公演『Triple Bill』を観てきました。
この公演は3人の振付家にそれぞれ振り付けをしてもらい、3本の作品を上演するというもの。
あえて金森穣が振付をしないということで、Noismとしては新しい(でも金森氏の念頭には立ち上げ当初からあったという)企画だそうです。

Noismも初めてなら、バレエの公演を観るのも初めて。。。
ふとしたことから、一度コンテンポラリーダンスの舞台を観てみたいと考えていたぐらが、思い切ってチケットを取ったのがたまたまコレでした。
この公演を選んだ理由は、金森穣の名前だけは知っていて何となく気になっていたことと、四季の観劇予定があまりない時期に大阪で公演があったことと、場所が行き慣れたシアターBRAVA!(旧MBS劇場)だったこと。それだけ。

せっかく行ってきたので…初めてさんなりの感想を書いときます。


DOOR INDOOR　構成・演出・振付：アレッシオ・シルヴェストン

のっけからなんですが…全然わからなかった。もとい、この作品の良さがぐらにはわからなかった…。
紗幕(？)の向こうで、セットらしいセットもない白い箱のような空間のなかで踊る人達。
衣裳とか振り、舞台の空間は私がイメージするコンテらしいコンテという感じ。

この作品には“語り”が入っていたのですけど、それがどうにも…。
観念的すぎて、耳で聴いているだけでは非常に判りづらい。
“語り”と“踊り”の融合を楽しむのかしら、と思って頑張って聴いてたんですが、なんかの拍子に「彼は…」って言葉が出てきたりすると「あれ、この場合の彼って何やったっけ？」となってしまう。
それは私がアホだから？
途中で「もういいわ。語りは無視して踊りに集中して観よう」と切り替えようとしたのだけど、そしたら今度は“語り”が余りにも耳障りになってしまって。
いっそ字幕にして下さい、と思ったのでした。その方が頭に入るし。

やりたいことは判る気がする、でもね…と思ってしまった作品でした。
踊りは美しかったので、何だかもったいなかったです。


ラストパイ　構成・演出・振付：黒田育世

下手のスポットライトの中で、金森穣さんが踊り始めます。
ていうか、そのままその場で40分間ぶっ通しで踊り続けます。。。
これはすごい。ほんまにすごかった。
物理的に踊り続ける体力というのも凄いし、何か精神的にもやられそうなんですよ。観てる側も。
踊っている内に、生身の自分を突きつけられているんじゃないかという感じがしました。
でも不思議とそこに嫌悪感みたいなものはあまり感じられなくって…生演奏の妖しげな音楽＆歌と相まって、脳内麻薬が出そうな。
まぁ40分間踊っていれば、それだけでランナーズハイのような状態になりそうですけど…途中で「穣さん、生きてんのかな」と心配になったほどでした。

金森穣さんが孤独に踊っている最中、4人のダンサーが加わります。
この4人のなかに一人だけいた女性がすごかった～。金森穣さんもすごいのですけど、この女性からも目が離せませんでした。
あとでプログラム見たら、たぶん井関佐和子さんという方ではないかと…。初心者なので間違っていたらすみません。
もうダンスがキレるキレる！そしてグニャリとなるところでは、一気にグニャリ…でその対比がすごかったです。


犬的人生　構成・演出・振付：近藤良平

ありがとう、近藤良平さん。
純粋に言います。おもしろかったです。

ぐらは、近藤良平さんが“金森さんをイメージして”振付されたのだと勝手に想像していました。
それじゃ、他の方に振付を頼んだ意味がない！と言われちゃいそうですが、でも“金森的近藤良平の世界”というか、“近藤的金森穣の世界”というか…
コンドルズの舞台もこないだテレビで観ただけの私がこんなこと言うのは憚られますが、私がかろうじてちょびっとだけ知ってる近藤良平さんの振付とはかなり違ったものが観られるのかと思ってましたが。

ありがとう、近藤良平さん。いい意味で裏切っていただきました。
あれはコンドルズファンの方には期待通りだったのかもしれませんが♪

えーっと…一言で言うなら「もしNoism05のメンバーが、コンドルズの舞台に出たら」というものでした。
そっか、やっぱりあれが近藤良平さんなのですね。ほんと良かったです。
さっきまで脳内麻薬出まくりだった金森穣さんが、妙にすっきりした顔で可愛らしく踊っていらっしゃったのが…素敵でした。

公演後、メンバーによるアフタートークがありましたが…諸事情により時間が許さず、帰ってしまいました。
ここが面白い所！とわかってはいたんですけどね～。

そして余談ですが、大阪城公園駅までの帰り道…蝉がいっぱい死んでいて大量に転がっていたのが恐かったです。
暗い道なのですぐ足元に迫るまで見えなくて…バリバリ踏みそうになりました。