2006/12/24(日)12:50
家族を大事にした下級武士の暮らしとは? 「たそがれ清兵衛」
テレビ放映された「たそがれ清兵衛」を今日は取り上げてみた。殺伐とした幕末の世を生きた寡男の物語だ。50石の食うや食わずの下級武士だが、とんと出世など眼中になく、二人の娘と耄碌した母親を養っている井口清兵衛(真田広之)が主人公。
第26回日本アカデミー賞最優秀作品賞はじめ軒並み各賞を掻っ攫った山田洋次監督の名作である。原作は山田洋次監督がほれ込んだ藤沢周平の作品。
時は幕末、庄内・海坂藩の下級藩士・井口清兵衛は、妻の亡き後、幼い二人の娘と老母の世話、そして借金返済のための内職をしながら生計を立てていた。御蔵役の務めを終えるとすぐに帰宅することから、仲間からは”たそがれ清兵衛”のあだ名で呼ばれあざけられていた。
ある日、幼馴染で思いを寄せていた飯沼朋江(宮沢りえ)が酒乱の夫、甲田と離縁し、家に戻ってきた。彼女は清兵衛を訪ねて子供たちと仲良くなる。清兵衛はどんなに感謝したであろうか。妻に来て欲しいと思ったことも一度や二度ではなかったと思う。そんな風情はおくびにも出さない清兵衛ではあったが・・・。
そして、そんなある日、朋江の別れた主人が飯沼家にやってきた。朋江の兄に言いがかりを付けに来たのだ。そこえ来合わせた清兵衛は行き掛かりで甲田と翌朝決闘することになる。
決闘はあっけなく終わった。真剣の試合なのに木の丸太で甲田を倒すのだ。剣の腕が立つことを知られた清兵衛は藩命により、一刀流の剣客余吾善右衛門を上意打ちするように命じられる。
猶予は与えられない。その夜、彼は刀を研ぎ、明け方に剣を振る。そして朋江に来て貰い身支度を手伝って貰う。
「いつの日か、そなたを妻に迎えたいと思っていた」
と恋心を打ち明ける。が、彼女の再婚先は既に決まっていた。
傷心の清兵衛は上意打ちにむかう。余吾の屋敷で二人は対決する。壮絶な闘いの末、清兵衛は余吾を倒した。帰宅した清兵衛に朋江はその胸に泣きながら飛び込んで行くのだった。
その後、朋江と再婚した清兵衛は、仕合せも束の間、戊辰戦争で命を落とし朋江と一緒の墓に収まり永遠のやすらぎを得たのである。
ラスト近く晩年の娘以登(岸恵子)のモノローグで幕を閉じる、彼女のアップは雄弁だ。僅かの出番だが見事と言うほかない。
2002年製作 松竹 監督 山田洋次 出演 真田広之 宮沢りえ
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