2007/07/11(水)10:12
キアヌ・リーブス初の本格的恋愛映画 「雲の中で散歩」
殺伐とした作品が多い中、これは一寸洒落た映画といえよう。広大な葡萄園を舞台に、男女の情熱的な恋を描いたロマンティックなラヴストーリー。「スピード」「JM」でトップスターの座を掴んだキアヌ・リーヴス初の本格的な恋愛映画。42年製作の同名イタリア映画(日本未公開)のリメイク。監督は「赤い薔薇ソースの伝説」で国際的にも高く評価され、本作が初のハリウッド映画となるメキシコ映画界の雄、アルフォンソ・アラウだ。
第2次大戦が終り、故郷に帰ってきたアメリカ兵ポール(キアヌ・リーヴス)は、再会した妻ベティの愛が冷えきっているのを知った。出征前の仕事であるチョコレートのセールスに戻るため汽車に乗った彼は、車中でビクトリア(アイタナ・サンチェス・ギヨン)という美女にぶつかりトランクの中身をぶちまけてしまう。
彼女は妊娠中で、相手の男に捨てられ心に深い傷を負っていた。彼女の実家はラス・ヌベス(雲)という葡萄園を営む、メキシコの長い伝統と格式に則った上流階級で、厳格な父アルベルト(ジャンカルロ・ジャンニーニ)は娘の不始末を許さないだろうと語る。
同情したポールは、彼女の夫を演じることを引き受けた。アルベルトは予想通り烈火のごとく怒るが、母親や祖母、祖父ドン・ペドロ(アンソニー・クイン)らは2人を優しく迎え入れてくれる。
翌朝、ペドロから散歩に誘われたポールは、深い朝霧の中を歩くうち、雲の中で散歩するような気持ちになる。彼は、もう一日滞在を延ばした。積んだ葡萄を大きな樽の中で踏み、音楽に合わせて踊る儀式の中、キスを交わすポールとビクトリア。だが、妻のいる彼はビクトリアを傷つけまいとして旅立つ決心をする。
その夜、彼はペドロと酒を酌み交わすうち、ペドロに進められて窓辺の彼女に歌で愛を告白するが、返事はなかった。
翌日は収穫祭で、ポールの忠告に心が軟化したのか、アルベルトは2人の結婚を許すと言う。だが、ビクトリアはこれ以上家族をだますことに耐えきれず、ついに真相を告白し、アルベルトは衝撃を受けた。
ヒッチハイクで乗り込んだ車の運転手がポールに聞く。
「こんなところで何をしてたんだ?」
「歩いてた」
「歩いてた?」
「雲の中を」
「地上へ戻ったか」
故郷に帰ったポールはベティと別れ、ビクトリアに求婚するため葡萄園を訪れた。だが、酩酊するアルベルトと争いになり、ランプの火が燃え移り、葡萄園は瞬く間に全焼する。
ポールは土を掘り返してみると、元根は無事だった。それを見たアルベルトは頑迷な心を解き、ついに愛し合う2人を許す。2人は皆に祝福され、本当の夫婦になるのだ。
葡萄ふみの儀式、窓辺で歌う愛のセレナーデ、それとアンソニー・クインが何ともいい味を出している。見ていてホッとする映画といえよう。所々でフラッシュのように描かれる戦争の場面は余り意味がない、むしろいらないのではないかという気もする。
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