2007/08/21(火)11:30
貴重な美術品は人命よりも尊いものなのか? 「大列車作戦」
これは美術館に収納されているフランスの国家的資産の絵画、ロートレック、セザンヌ、ゴッホなど名画の数々をドイツ軍の手から守り抜いた鉄道レジスタンスの記録である。
ナチスドイツの敗戦濃くなった頃、連合軍はパリへ進撃していた。パリでは独軍のフォン・ワルドハイム大佐(ポール・スコフィールド)は美術品の掠奪を決行していた。軍事費にあてるという名目で。
美術館長のビラール女史は仏国有鉄道の操車係長ラビッシュ(バート・ランカスター)に運び出しの阻止を哀訴、彼はパリ解放の日の近いことを知り、輸送列車の出発引き延ばしを決議した。
だが、美術品は47輛列車に積まれ、ブル親爺の運転で出発することになった。彼は機関車のエンジンに仕かけをして事故を偽装した。彼とてレジスタンス要員として熱血漢だったのだ。それが露見し、ブルは射殺された。
大佐は激怒し、ラビッシュに列車の運転を命じた。独警備兵たちは美術列車がパリを離れてドイツに近づいていると信じていた。駅名を書き換えたり、看板やポイントを変えたり一晩中鉄道員全員が列車を護り、一夜明けてみると列車は出発点に戻っていた。
列車は一晩中パリ周辺を回っていたのだ。ラビッシュの指令で通過駅の駅名標示板が一斉に書きかえられたのだ。それは22日間ものサボタージュであった。ラビッシュの機転で機関車を爆破し、美術列車の後部にも機関車を脱線させて美術列車を立往生させた。
大佐は一刻も早く国外へ運び出さねば、と部隊を総動員した。今までのレジスタンス運動で多数が傷つき、ラビッシュが独力で阻止しなければならなくなった。彼は傷つき、疲れながらパリ郊外へ先回りして線路を爆破して脱線させた。
その頃、すでに敗走する独軍部隊が認められ、大佐はトラックを停め、美術品を載せ変えようと命令。だが部隊の隊長は公然と反抗、車から降りた兵たちに乗れと命令する。
「おい、命令に従え!射殺しろ!上官への露骨な反抗だ。銃殺だ!」
だが、大佐の部下が諌める。
「負けですよ、希望は失せた。彼らを見なさい、ただの敗軍だ」
「負けだと? 負けか・・・」
警備兵たちは大佐を見捨てその流れにまぎれこんで行った。
ラビッシュは多くの鉄道員の犠牲を出させ、今また列車に乗せられた多数の鉄道マンたちを平然と射殺させた大佐と対峙。
「ラビッシュ、お前に宝物をくれてやろう、美術品などお前のような人間には”豚に真珠だ。価値など何一つ分かるまい。人間のくずにはな」
瞬間、ラビッシュの銃が火を噴き、大佐はくず折れた。
美術品と人の命はどちらが大切なのだろうか。ジョン・フランケンハイマーは戦争をバックにその命題を私たちに突きつけているようだ。
1964年製作 アメリカ・カラー 監督 ジョン・フランケンハイマー 出演者 バート・ランカスター ポール・スコフィールド ジャンヌ・モロー ミシェル・シモン シュザンヌ・フロン シャルル・ミロ
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