2008/04/06(日)19:51
厳しい戦乱の世を生き延びてきた莫高窟の文化遺産 「敦煌」
構想15年、準備期間6年、製作費45億円というかつてない巨費が投じられた映画史上空前の歴史超大作!
乱世の時代、11世紀のシルクロードを舞台に、敦煌の文化遺産を守ろうとした青年の活躍を描いた歴史スペクタクル。西田敏行、佐藤浩市、三田佳子、渡瀬恒彦ほか出演。
第12回(1988年)日本アカデミー賞 作品賞、主演男優賞〈西田敏行〉、監督賞、撮影賞、照明賞、美術賞、録音賞、編集賞、新人俳優賞〈中川安奈〉、特別賞など多数受賞。
その1: 戦いの世を生き抜くために彼らは何を目指したか
11世紀の宗。科挙の試験に落ちた趙行徳(佐藤浩市)は、街で西夏の女(三田佳子)を助けた礼として、西夏への通行証をもらった。
西夏の文字に興味をもった趙は西域へと向かう。灼熱の砂漠を尉遅光(原田大二郎)の隊商と共に歩いていたが、途中で西夏軍漢人部隊の兵士狩りに会い、無理矢理入隊させられてしまう。
隊長の朱王礼(西田敏行)は文字の読める趙を重用。漢人部隊がウイグルを攻略した際、趙は美しい王女ツルピア(中川安奈)と知り合い恋におちる。二人は敦煌を目指して脱走を試みたが、道に迷い朱王礼の部下に捕まる。
脱走は死刑だが、朱に助けられ、その代わり趙は西夏王・李(渡瀬恒彦)の都へ文字の研究に行かされる。趙はツルピアをかくまってやってくれと朱に頼み、ツルピアには1年以内に戻ると約束したまま旅立つ。
都に着いた趙は経典の翻訳に時間をとられ二年が過ぎた。李はツルピアと政略結婚しようとしていた。
その2; 雄大な砂漠を背景に数千の軍馬が砂煙を上げて走るシーンは絵になる
軍馬の疾走シーンは圧倒的な迫力だ。だが、夜間撮影の場面は画面が暗いのが気になった。もう少し何とかならなかったのだろうかと思う。
趙も朱にもどうすることもできなかったが、婚礼の当日ツルピアは李に刃を向け、短刀をもぎ取られると城壁から飛び降り自殺した。
ツルピアに密かな思いを寄せていた朱の怒りは爆発、敦煌府太守・曹(田村高廣)を味方につけて李に謀反を起こす。
敦煌城内で死闘を繰りひろげる漢人部隊と西夏軍本部隊。初めは漢人部隊が優勢だったが敦煌城に火矢が放たれ、朱側は火に包まれた。
その3: 古代の戦争の道具はこんな物だったと様々な武器を使って見せてくれる
「歴史に名を残すのはお前じゃない、この俺だ」
と李は傲然と呟く。
李を倒すことに命をかけていた朱は、敦煌城を出て突撃、だが、李のそばへ近づくことすら出来ず、
「三度突撃しても、近寄ることすら出来ぬ。四度目はもう体力が持たない。わしの死に様を見ろ」
と自刃する。
戦うことより文化遺産を戦火から守ることに使命を見出していた趙は、教典や書物、美術品などを城内から莫高窟へ運び込むのだった。
それから900年が経ち、莫高窟からこれら文化遺産が発掘され、敦煌は再び世界の注目を集めたのである。貴重な人類の遺産を守るために多くの人々がどれほど努力したかを考えるとき、頭が下がる思いがする。
井上靖の同名の作品の映画化だけあって名作である。だが、今ひとつ感銘度が弱かったような気がするのは私だけだろううか。
1988年 大映・カラー 監督 佐藤純彌 出演 西田敏行 佐藤浩市 中川安奈 新藤栄作
原田大二郎 三田佳子 柄本明 蜷川幸雄 田村高廣 渡瀬恒彦
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