シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

2008/12/07(日)16:00

高層ビル火災は消防士にとって命がけの闘いだ 「タワーリング・インフェルノ」

アメリカ ・ パニック(9)

サンフランシスコにそびえ立つ地上138階の超高層ビルの落成式の日、発電機の故障から発火、たちまちビルは炎の地獄と化した。小さな火がまるで生き物のように最新鋭のビルを嘗め尽くしていく。 世界を震撼させたパニック・ムービー、私たちもいつこのような危険に見舞われるか分かりません。 その1: 僅かの手抜き工事が取り返しのつかない事故に発展していく恐ろしさ! サンフランシスコの空にそびえ立つ138階建ての世界一高い超高層ビル“グラス・タワー”が落成の日、設計者のダグ・ロバーツ(ポール・ニューマン)とオーナーのジム・ダンカン(ウィリアム・ホールデン)は、屋上に立って眼下にひろがる市の光景を見下ろしていた。 旅行から帰ったばかりのロバーツは疲れていた。一刻も早くコンクリートの大都会からのがれたかった。工事主任のギディングス(ノーマン・バートン)と打合わせをすませたロバーツは婚約者のスーザン・フランクリン(フェイ・ダナウェイ)と久しぶりに二人だけの時間をもった。 惨事は、そのときすでに始まっていた。“グラス・タワー”の地下室にある発電機が故障したため主任技師のキャラハンが予備の発電機を始動させたとたんショート、81階の配線盤のヒューズが火を発し、燃えながら床に落ちた。 保安主任ハリー・ジャーニガン(O・J・シンプソン)の緊急報告を受けたロバーツは配線工事が自分の設計通りに行われていないのに憤然として、落成式の一時中止をダンカン企業の広報部長ダン・ビグロー(ロバート・ワグナー)に申し入れたが、ダンカンは拒絶。 そのとき81階では火が大きく拡がりはじめていた。ロバーツはダンカンの義理の息子であるロジャー・シモンズ(リチャード・チェンバレン)に会い、ビルの配線工事を担当した彼を責めた。 「どうせリベートを貰って、手抜きをさせたんだろう」 「その言い方はないだろう。喧嘩を売るつもりか」 その2: 大きく燃え広がっていく炎 それに誰も気づかないとは・・・ 一方、火災の発生をまだ知らない“グラス・タワー”の借間人たちは落成式パーティの準備に忙しい。 1階から80階までがオフィス用、81階の火元はまだ空室ばかりだ。それから上は住宅用に作られたこのビルには、すでにさまざまな人が住みついて、たとえば90階のハーリー・クレイボーン(フレッド・アステア)の職業は株専門のサギ師だった。 彼はおなじ階に住む富豪未亡人リゾレット・ミューラー(ジェニファー・ジョーンス)に早くも眼をつけ、今夜のパーティにエスコートし、話をまとめて一儲けしようとしていた。 外部からの招待客もそうそうたる顔ぶれで、上院議員ゲイリー・パーカー(ロバート・ヴォーン)、サンフランシスコ市長ロバート・ラムゼイなどがいた。 入口のリボンが市長の手によって切られると、人々は135階のプロムナード・ルームへ直行し、ビルの全てのライトがともされ“グラス・タワー”の全容は夜空にクッキリとあらわれた。だが81階の空室から出火した火は拡がっており、ロバーツは消防署に急報した。 ハーリーは、リゾレットに近づき、話す。 「君は運命を信じる?」 「いいことならね」 「私の帰郷は意味があるはず。君に会うための」 二人、グラスを合わせる。 連絡を受けた消火隊は隊長のマイケル・オハラハン(スティーヴ・マックィーン)の統率のもと、ほどなくビルに到着した。彼はただちにロバーツと“グラス・タワー”の設計図を検討した上、79階に司令センターを設置、ダンカンに緊急避難を令じた。 「建築家、このビルは火災なんかないと思ってたよ」 オハラハンがロバーツにいう。 「おれもだよ」 と、ロバーツ。 その3: 煙突と化したビルは火勢を増し、燃え広がる 81階の火が他に移り始めてエレベーターにも危険が迫っていることを察知したオハラハンは展望エレベーターを利用するよう令じたがすでに大混乱が始まっていた。 リゾレットはロバーツと共に部屋に残してきた子どもたちを助けにいく。ロバーツは火炎の中から子ども二人を救出、だが、階段を抜けようとして階段を爆風に吹き飛ばされる。ここを乗り越えるロバーツの活躍シーンは胸をうつ。 そして、無事会場に戻ったリゾレットとハーリーは再会、 「また会えたら告白するつもりでいた」 「いいの、ありがとう」 「私のことを知らないだろう」 「知ってたわ。無一文の詐欺師だってこと、でも、いいの」 「わたしはチンケな、安っぽい男なんだ」 「成功に縁がなかっただけよ」 地上からの救援だけでは間に合わぬことを知ると、オハラハンは海軍のヘリコプターに空からの救援を依頼したが、強風のためビルに近づくことができず、かろうじて近づいた一機もビルの屋上に近づくと炎上した。“グラス・タワー”は今や完全にひとつの巨大な溶鉱炉と化した。 隣りのビルからのワイヤーの救命籠作戦もロジャー・シモンズやパーカー上院議員の犠牲者を出し、いきずまっていた。女性たちを乗せた展望エレベーターは近くの部屋の爆発でストップ、そのショックでリゾレットは空中に投げ出され死亡した。 オハラハン、ロバーツの命を賭けた救出作業は続く・・・。 高層ビルが乱立する世の中、このような悲惨な被害が出ないことを祈りたい。 1974年 アメリカ・カラー 監督 ジョン・ギラーミン 出演者 スティーブ・マックィーン、ポール・ニューマン、ウィリアム・ホールデン、フェイ・ダナウェイ、フレッド・アステア ジェニファー・ジョーンス

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