2009/11/20(金)11:19
ピーター・フォーク 「刑事コロンボ」で名前を売った役者
ピーター・フォーク、彼は”ウチのカミさん”を口癖にする「刑事コロンボ」であまりにも有名だ。まず知らない人はあるまいと思いたい。だが、彼の右目が義眼だったということを、あなたはご存知でしたか?
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3歳のとき、腫瘍で義眼を入れたそうで、少年の頃、リトルリーグの審判に不本意な判定を下されると自ら義眼を取り出して審判に振り回して見せ「目ン玉ついてんのかよ、これ(義眼)が必要なのはお前のほうじゃねえのか?」と叫んだことがあったという。
彼は1927年9月16日、ニューヨーク市マンハッタンで生まれた。父親はロシア系ユダヤ人、母親はポーランド=チェコ=ハンガリー系ユダヤ人。10代の頃から演劇に親しんでいたといわれ、12歳のときには、舞台『ペンザンスの海賊』に出演した。
戦後に一度退学していたハミルトン・カレッジで学びなおし政治学の修士号を得、予算局に勤務。その後、演劇の世界に戻るため稽古を再開し舞台に立ち始めた。
1950年代、舞台で演じた『ドンファン』などの演目が好評を博しオフ・ブロードウェイからブロードウェイに進出、1956年以降はTVに主演し始め2年後には映画にも手を広げはじめる。
頭角を現したのは1960年の「殺人会社」。冷徹な殺し屋役が注目されアカデミー助演男優賞にノミネート。続く1961年の「ポケット一杯の幸福」では打って変わってコミカルな役柄で再び2年連続で同賞にノミネートされた。
1960年代から1970年代にかけては鬼才・ジョン・カサヴェテスと組みシリアス路線が主だったが、1970年代から1980年代以降にかけてはTVドラマにも活躍の場を広げ、コミカルな中年俳優として多くのファンを獲得した。
なかでもよく知られる代表作、『刑事コロンボ』には1968年の第1作の「殺人処方箋」から2003年放送の作品まで69作に出演。4回にわたりエミー賞主演男優賞を受賞する。
悪口を云ってはいけないが、自分の体の欠陥を売り物にして、第一級のスターにのし上がった俳優は後にも先にも彼一人だろうと思う。
彼の他の作品としては、「名探偵登場」「大反撃」「最高のルームメイト」「こわれゆく女」など多数ある。
私生活では1960年に大学の同級生だったアリスと結婚、二女をもうけているが1976年に離婚。刑事コロンボシリーズ「ルーサン警部の犯罪」で共演したシーラ・ダニーズと1977年に再婚している。
また近年は、イタリアのダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞を受賞したことで話題となった、女優のサマンサ・フォークは姪にあたる。
2008年、家族の後見申し立てによってアルツハイマー症であることが公表された。彼ももう82歳だ。病気は辛いだろうが、余生を楽しんでほしいと思う。