小川洋子さんと言えば
を思い出される方が多いと思いますが
私も小川さんの最初の本がこの作品でした。映画化もされたようですね。
その後、小川さんの本を読み漁りましたが、「博士の・・・」の作風とは違った作品ばかりでした。
「博士の・・・」も温かい良い作品だけれど、私は他の小川作品にも魅了されました。
その中でも特にお気に入りの中のひとつが「密やかな結晶」です。
 | 密やかな結晶
記憶狩りによって消滅が静かにすすむ島の生活。人は何をなくしたのかさえ思い出せない。何かをなくした小説ばかり書いているわたしも、言葉を、自分自身を確実に失っていった。有機物であることの人間の哀しみを澄んだまなざしで見つめ、現代の消滅、空無への願望を、美しく危険な情況の中で描く傑作長編。
(本書より) |
消滅したものと共に人々の記憶から言葉や感情や思い出が消え去る。
消滅がある毎に心の衰えが進む住人。
それに対し、消えない記憶を持ち続け心を満たしていく住人。
「記憶狩り」の犠牲となるのは後者なのですが、果たしてどちらの生き方が幸せなのか。
哀しいお話ですが、小川さんの世界に入り込める作品です。