イタリア在住で2007年に文化功労者に選ばれた塩野七生さん。
彼女が15年の歳月をかけて書き上げられた『ローマ人の物語』。
2007年の年末、ローマ帝国の特別番組をちらりと見ましたが
それがこの作品を基に構成されているかのようでした。
この作品の文庫化が始まったのが、確か2002年。
私が初めて文庫版を手にしたのが、渡越後の2006年。
話題の作品の1巻と2巻だけでもと思い、読み始めたのですが・・・
ローマ人の物語(1) ローマ人の物語(2)
1巻と2巻の副題は『ローマは一日にして成らず』
・・・1巻では・・・
ロムルスによって誕生したローマが、周辺民族と対等な立場で合同し
ローマへ移住してきた者には市民権を与える。
この王政を敷く小さな都市国家が法や暦を改革し開拓事業などに取り組み
多民族国家としての勢力圏をゆっくり拡大していく様が描かれています。
・・・そして、2巻では・・・
共和政に移行したローマで起こった貴族と平民の抗争の中
ケルト族襲来後、出身を超えた画期的な政治システムが生み出される。
ローマ連合の誕生、街道の敷設、そして敗者へは寛容に市民権を与え
着実にイタリア半島を統一するまでの過程が描かれています。
すべての道はローマへ通ず
ローマは一日にして成らず
その言葉を読みながら納得・実感できる作品です。
文章にすると難しそうなのですが、塩野さんの作品の素晴らしいところは
平易な表現で2000年以上も昔に生きた人々が身近に感じられるところ。
「この2冊だけ」が、次から次へと惹きつけられ、気がつけば第20巻に突入。
現在34巻まで刊行されていますが、まだまだ文庫化は続いています。
途中、休みながら、寄り道しながら、ゆっくりとゆっくりと
待つ楽しみも味わって、読み進めたいと思います。