愛し愛されて生きるのさ。

2004/02/16(月)01:11

日本語吹き替えの醍醐味。

最近、映画をレンタルする際はもっぱらDVDである。観終わった後に巻き戻す手間が無いし、早送り・巻き戻しもスムーズ、そしてチャプターごとに観たいシーンをズバリ引っ張り出せるという点でVHSの弱点をことごとく克服したと言える。しかもモノによっては特典映像付きでレンタル料金はVHSと同じとくりゃ、お得感は格段に違う。そしてもう1つのメリットとして、1枚のディスクで字幕と吹き替えが選べるという点が挙げられる。私は今までVHSで洋画を鑑賞する際は必ず字幕版を選んでいた。やはり役者の生の声で楽しみたいという想いがあるからだ。たぶん多くの人が「字幕か吹き替えか選べ」と言われれば、字幕版を選ぶと思う。しかしDVDはポチッとクリックするだけで日本語吹き替えに切り替えられる。ならば「ちょっと吹き替えで観てみようかな」という気分になる時もある。同じ日本語での翻訳でも、字幕と吹き替えは違う。字幕で見る分にはOKでも、言葉にしてしまうと違和感のあるセリフはたくさんある。字幕では多少回りくどい表現も許されるが、吹き替えとなるとそれを噛み砕いて、かつセリフとして自然なものに仕上げなければならない。そこに製作者は腐心しているように思える。万人にわかるセリフ回しということで、かなり古臭い言葉が出てくるのはご愛嬌と言えよう。教師と生徒との死闘を描いたサスペンス(と言ってもブラック・コメディに近い)『鬼教師ミセス・ティングル』を観たとき、主人公である鬼教師の日本語吹き替えを堪能していたのは、ベテラン来宮良子。『演歌の花道』『いつみても波瀾万丈』などで、ドスの効いた低音ボイスで緊迫感と箔を与えている人である。たぶん声を聞けば知っている人も多いと思う。これが実にハマッていて、こればっかりは日本語吹き替えの方が楽しめた。主演のヘレン・ミレンよりも声が鬼教師っぽくて鬼気迫るものを感じた。先日観た『ミザリー 特別編』で、有名作家の偏執的なファンで作家本人を幽閉する狂気の女性・アニー(キャシー・ベイツ)の吹き替えを演じたのは藤田弓子だった。藤田弓子というと、実写で「日本のお母さん」的な役柄を数々演じてきたベテラン女優である。あの丸っこくて人懐っこい顔が印象的だが、ここでは鬼気迫る声で熱演。まあキャシー・ベイツ本人の気迫には劣るところもあるが、それでも堂々たる声での演技だったと思う。テレビで放送される映画は、たいてい吹き替え版である。もちろんそれは万人に観てもらうための必然性があるから仕方ないことである。テレビの吹き替えでパッと思い浮かぶのが、戸田恵子・山寺宏一・津嘉山正種あたりか。皆この道のベテランだから安心して観ていられる。異色なところで、『エイリアン』でシガニー・ウィバーの声を担当した野際陽子とか。話題作や目玉作品をテレビで上映する際、有名な役者を起用することも少なくない。織田裕二だったり高嶋政宏だったり。昨日もちょこっと書いたが『タイタニック』で主演の男女の声を葺き替えたのは妻夫木聡と竹内結子だった。これがヒドイのなんのって。棒読みというか、抑揚が全く無く感情がこもっていないので鑑賞に堪えなかった。妻夫木聡も竹内結子も、決してヘタな役者ではない。でも実写と吹き替えはワケが違う。そもそも外人が日本語で喋っているのを違和感無く見せなければいけないのだから、ただナチュラルに演じていては観るものに全く伝わってこないわけだ。しかし逆に言うと、吹き替えを得意とする声優さんたちの声は揃いも揃って熟している。だから高校生が登場する青春映画などを吹き替えで観ると、どう聞いても高校生の声に聞こえなかったりする。しかもセリフが「ワァ~オ、イッかしてるぅ~」とかだとかなりの隔世感。どうも吹き替えは塩梅が難しいようだ。気になる吹き替えはアントニオ・バンデラス&アンジェリーナ・ジョリー主演の、少々エロそうな映画『ポワゾン』である。これの日本語吹き替えは草刈正雄と菊川怜。ある意味、適材適所かも。「マイクの前で喘ぎ声を出すのが大変でした」とは菊川嬢のコメントだが、そんな正雄と怜の『ポワゾン』を観てみたいとずっと気になっているがなかなか手を出していない状況である。っていうか実写でやっても違和感無さそうだもんな、草刈正雄と菊川怜のエロティック・サスペンス。どうもVシネっぽくなりそうだが。

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