2015/05/19(火)16:27
Fieldsのファーストアルバム各メディア版をそれぞれ分析してみたですよ♪
グラハム・フィールド、アンドリュー・マカロック、アラン・バリーの三人により1971年秋に制作されたフィールズのアルバム。昔からLPの日本盤や英国盤でしつこく聞き返してきましたが、CDで何度かリイシューされリマスターも出ている時代ですから、その音がどんだけ違うのか目で見られるようにしてみたのです。
比べたのはA Friend Of Mineについて、英国盤オリジナルLP、オランダ盤シングルでのイントロを短く編集されたヴァージョン、そしてリマスターCDで、曲冒頭のイントロ二小節(リフから最初のドラム・フィルまで)をダイナミック・レンジと周波数帯域分布で画像化。レコードは24Bit96KHzで盤から起こしたものを使用音源としました。全体の音量は大まかに曲の音量レベルが合うように調整しました。
比較するとCDでのリマスターでは最近のリイシューCDに見受けられる全体へのリミッター処理をして無い事が判ります。比べてみるとレコード二種については、細かいレンジの変化がありますが、CDはそれに比べるとグラフが少し荒めに見て取れます。図形最後のドラムのオカズ(フィル)部分がLPよりシングルやCDの方がレベルが高くなっていますが、これには全体的な音色調整が影響しています。
この各メディア別の周波数分布を見ると、シングル盤とCDにおいて低域が割りとカットされてる様子がわかります。比べてオリジナル盤LPは過剰なほど低域が出てるのがお解かりいただけると思います。楽曲において低域は全体音量レベルに対し影響する為、低域が少ないシングルとCDを音量レベルでLPと合わせてグラフ化した為、LPのドラムオカズ部分の音量が比較すると相対的に小さくなってしまいました。
オランダでのシングル盤で、LPと比較してかなり低音が抑えられてたのは、シングル盤回転数45回転/分で、フロアドラムなどの低い打撃音がのっけから連打されてる事で針飛びのリスクが出るのを押さえていたんじゃないのかな?と感じました。日本でも80年代初めに出たヒカシューのパイクが非常に低音成分が多く、当時の私の針圧低いレコードプレイヤーでは針飛びが起きてしまいレコード屋で相談した事がありましたw 私が音響学校で学んでいた時もレコードの針飛びが起きないようにするミキシングについても講義があったのですが、回転数の早いシングルでは低音で定位や音量に注意をしないと針飛びしやすくなると言うものでした。
回転数が早いシングル用にあえて低域をカットした可能性もありそうですね。曲自体も編集で切り刻んでいるくらいですからやりかねませんw
LPでは低域成分がシングルやCDと比べかなり多い事が上の画像からもお解かりいただけるものと思います。シングルは中域が、CDは全体がバランスよく聞えるように調整したのでしょうね。モーガル・スラッシュ等他のリマスターCDであるような過剰な高域上げは無さそうです。ただ、CD故にあるポイントから上の高域周波数はばっさり切れてますが、聞いた感じではしゃきっと引き締まった感じで不足は感じません。
LPの持つあの独特なもやもや感は、この低域成分が豊かに含まれているというのもあるのでしょうね。まあLPはLPでアンディのドラミングがズッシリと響くのが聞きモノになりますがw
CDのリマスターで感じるのは、レコード制作当時の元マスターで行なわれていたリミッター処理が、最近のリマスターでは低域補正で若干カットされ、もやもや低域成分が消え去った跡としてリミッターの癖だけが表面に際立ってしまいが、楽曲にもろ浮き出てきてる点でしょうか。トリオ編成で楽器音がそもそも少ないから致し方ない部分ですね。個人的にはいいリマスターだと思っています。上から目線に聞えたらごめんなさいw