1464929 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

日々是徒然

日々是徒然

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

思緒里

思緒里

Recent Posts

Calendar

Category

Comments

aki@ Re:生きてます(11/23) この様な書込大変失礼致します。日本も当…
ヌテラ親父@ Re:ロシェチョコ≒ヌテラの謎(02/28) 10年以上前の記事にコメントするのもナニ…
ぱるるもん@ Re:『プライド(12)』一条ゆかり(02/20) 漫画はお嬢様と貧民育ちの対決構図だと思…
グリーン@ Re:『プライド(12)』一条ゆかり(02/20)  本当に最悪な結末。萌の留学が面白かっ…
とうりすがり@ Re:ダウナ(11/23) >楽天なんかで見ると、かさ高180以上のポ…
ダウナ@ Re:長い長い羽毛布団の話(11/23) ダウナはやはり特別ですね。 布団側も特殊…
ダウン@ Re:長い長い羽毛布団の話(11/23) ダウナはやはり特別良いと思いますよ。 側…
思緒里@ Re[1]:総決算(12/27) gooddesignさん わああご無沙汰です! も…
gooddesign@ Re:総決算(12/27) あけましておめでとうございます&お久し…
マイコ3703@ コメント失礼します(* >ω<) 最近読んだブログで1番気にかかってしま…

Archives

2024.04
2024.03
2024.02
2024.01
2023.12
2023.11
2023.10
2023.09
2023.08
2023.07

Keyword Search

▼キーワード検索

Headline News

2007.07.07
XML
カテゴリ:評論・エッセイ
014286120000.jpg
『鴎外の三男坊』
去年の暮頃、ワインを飲みながら、森茉莉がパリで飲んでいたワインはなんだったんだろうとか考えて、久々に森茉莉全集など引っ張り出してパラパラめくっていたら、ふと、そういえば末っ子の弟はなにしてたんだっけ? と考えた。

以前、森まゆみさんの書いた森家の評伝を読んで、まるで「渡鬼」のごときファミリードラマが妙に面白かったのと、そういえば森茉莉も小堀杏奴もエッセイを読んでいたり、なぜか家には昔から森鴎外全集があったりしたので、森一族は自分の好みに合っているんだろうと思っていた。
長男は立派な医者だ。二人の娘は文筆家として名を成した。しかしまてよ、一人いたな……。それが末っ子の類だということに気がついた。

明治時代に国費でドイツ留学し、医学だけでなく文学も文化もすべて吸収して帰国した森鴎外(林太郎)のすごいところは、子どもたちにドイツ名の和名を与えたところだ。
長男:於兎(オットー)、長女:茉莉(マリ)、二男(夭折):不律(フリッツ)、
二女:杏奴(アンヌ)、三男:類(ルイ)。
そして於兎の子供たちは漢字忘れちゃったけど、マックス、レオ、ハンス、ジョージとか、そんなの。明治時代だよ。最初に知ったときは、少女マンガの世界かと思ったよ。
そんでもって茉莉の長男は爵(じゃっく)だし。明治~大正時代にこの名前はさぞや目立っただろう。

森類のことが気になり始め、でも唯一知られた著書『鴎外の子供たち』がなかなか手に入らず、たまたま仕事の資料を探しに来た会社近くの小さな区立図書館で『鴎外の三男坊』(山崎國紀)という評伝を見つけた。

初めて知る、森家の末っ子。かな~り面白い。
父親が偉大すぎるのと、兄姉がユニークすぎる家に生まれ育った彼の不幸は、まず勉強嫌いから始まった。小学校にあがった類が、あまりに勉強ができないので、教師が心配して「確かに脳の病気で勉強のできない子供はいます。しかし類くんはどこも悪くないのに、一番勉強ができません」と母親に言いにきた。そしたら母は、「いっそ頭の病気だったらどんなに肩身が広かろう。どうか病気でありますように」とか言って、病院連れていくのだ。すげえ。
前妻の子である長男於兎はすでに医学の道で父と同様に留学するほどの秀才であり、鴎外が愛してやまなかったおばかな茉莉は16でさっさと資産家の家に嫁に出していた。
類は2歳違いの姉、杏奴の奴隷だった。父が亡くなり、年の離れた長男はとうに独立し、茉莉が嫁に行くと、偉大な欧外の名を汚すまいとする母の元で、杏奴と類はふたりだけでひっそりと育つのだ。なんかすでに淫靡なんですけど(笑)。

どうにも勉強に興味がもてず、中学を中退すると、類は母に命じられて著名な画家に弟子入りする。そして後日、杏奴と二人でパリに遊学したりするのだ。
でも画家になれなかった類。
小さな本屋を開業しながら、文学同人に参加し細々と文筆に励むも、書くことで身を立てることもできなかった類。店番を妻に任せ、自転車で本を配達をする欧外の息子。

妻を愛し、4人の子供たちを均等に可愛がり、よき父親だったところは、欧外とそっくりだ。でも抜きん出たものがない類には「森鴎外の息子」という肩書きだけが生涯まとわりついた。
彼の最晩年の、長女へ宛てた手紙は涙ものだ。老いて、こんなにも美しい手紙を娘に書き送ることができるなんて、彼の才能は開花するのが遅すぎたのだろうか。

それにしても晩年の類が、激いい男(老人だが)なのに萌えた(笑)。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.07.07 09:33:53
コメント(4) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
別の画像を表示
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、こちらをご確認ください。


Re:森類という存在(07/07)   チャン8940 さん
『鴎外の子供たち』ですが、当店にて販売しておりますよ。宜しければお越しくださいませ。私も読みましたが、不憫な気持になるばかりでした。 (2007.07.08 11:04:00)

Re[1]:森類という存在(07/07)   思緒里 さん
チャン8940さん
古書店も行く度チェックしているのに見当たらず、利用しやすい千代田区の図書館には蔵書がないのですよ(怒)。
さっそく購入させていただきます。
・・・やっぱり不憫なんですね・・・(涙)。
(2007.07.08 22:58:31)

Re:森類という存在(07/07)   こんにちは さん
実は私、類さんに生前お会いしております。
確かに子煩悩な方でした。随分昔の話だな〜... (2013.12.07 22:49:52)

Re[1]:森類という存在(07/07)   しをり さん
こんにちはさん

おおお~それはすごい! 編集者さんでしょうか。
晩年はエッセイや小説でいくつか評価されたみたいですね。
鴎外の子供たちのなかでは、もっとも家庭に恵まれて(賢婦の奥様でよかった!)
あれで結構幸せな人生だったのかもしれませんね。
著書をまた読み返したくなりました。 (2013.12.17 22:46:27)


© Rakuten Group, Inc.