日々是徒然

2007/07/24(火)08:04

『プレイス』木原音瀬

BL小説(330)

『プレイス』木原音瀬 99年発行の3本の連作からなるストーリー。なんか読みにくいなあと思ったら、1行52字詰め1ページ18行。もうぎっちぎちに詰まってる。シャイノベルズとかだったら、1本で1冊できちゃうよ。 木原さんにしては、イタタの少ないリーマンものだが、もう冒頭直後にファンタジー設定が待っていた。攻めが天使とのハーフだったよ(爆)。 しかも、言葉遣いもやさしくて、思いやりがあって、仕事ができて、自分はこんな羽があるから、誰とも結婚しないと決めているノンケだったのに。それにこの優男が初体験でいきなり攻めだったのは驚いた。 一方、後輩設定の受けは、自分の性癖自覚していて、羽つき男に一目ぼれなんだが、それを悟られたくなくてついそっけなく冷たい物言いをする。おまえはいじめっ子の小学生かと。 けっこうイライラじらされる展開で、荒っぽい受をよくもまあ攻めはもてあましもせず相手にし続けたもんだ。 あ、そうそう羽根つきの特典は、相手の言っていることのウソがわかっちゃうという能力。だから酔っ払って、まだノンケだった羽つきに介抱されている時に、うっかり「好きだ」とか口走っちゃって、それで羽つき男は「およよ」と意識するようになっちゃう。 でもこの受けがさー。嫉妬深くて子どもっぽくて、口下手で、怒ると言うこと支離滅裂で。もう後半はイライラしながら読んだよ。 でも、受けが子どもの頃、川で溺れそうになったのを、攻めが天使の羽根で飛んできて助けたという運命の出会い的なかくれエピソードがあって、つまり二人はくっつく運命だったんだって話だ。 刺激はないけど、ほのかな愛はあって、羽根持ちなのに普通に社会生活送っていて、その仕事の業務内容とかやたら詳細に書き込んであって、木原さんの本にしては珍しい感じ。あ、そうそう、どっちもハンサムっぽいのも珍しいかも(笑)。 木原さんの書く女性は、割と苦手なタイプが多かったけど、今回、同僚の若い女の子が、あっけらかんとしていい。好きになると速攻アタック、振られたら即、次のターゲットっていう恋愛命みたいな子。や、実際にいたら気持ち悪いけどさ。あと受けをもともと好きで、でもゲイだと知って今は友だちでいるという美女(既婚・子持ち)が、夫の浮気でキレて、受けのところに転がり込むのも異常。いくら相手がゲイといっても常識なさすぎ。そして結局、セックスなくてもいいから、二人で子供を育てようとかいうし。 いつもの木原節はなかったけど、安心してよめる健全なBLだったよ。エッチも朝チュンっぽいし。

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