|
カテゴリ:BLマンガ
『ヴィリ』山岸涼子 いろいろと身につまされる話だった。 「ジゼル」の妖精ウィリーに仮託したおのが人生の顛末。これはマンガという形態をとってはいるけど、女性週刊誌の「ドキュメント:わが半生」みたいな内容だ。 女もずっと仕事していてある程度のキャリアがあれば、重責にも耐えねばならんのだなあ。 ああやだやだ。重責も家庭に入ることも潔しとしない自分は、これからどうすりゃいいのよ?いつまでも20代なら許されるんだろうか。好きな仕事ならやってもいいが一生働くなんてやだ。問題は好きなことしていても食えないってことだな。 女の人生が総覧できるようなお話だった。 主軸はヴィリとなってやがて復活する中年バレリーナの話なんだけど、さまざまな年齢、立場、地位の女たちが周囲を固めていて、それぞれの人生があることをしっかり描いている。 バレエマンガって言っても、派手でもきらびやかでもないところが山岸さんらしい。 最初「地味な話だなあ」「対象年齢高そう」とか思ったけど、いろいろな立場の女、というあたりがミソだよね。どれかに自分を投影できる。 才能があり成功を手にしているがまともな恋愛をしたことがない女、 完璧な祖母・母の前に、自分を成長させることができない娘、 ひたむきさはあるけれど抜きん出たものがない地味な女、 ちゃらちゃらしているようで、実は結構真摯に努力なんかもする女、 長年、影となり日向となりスターを立て、支える黒子的存在の女、 さまざまな確執がありながらも、指導者として後進を導いている女、 もっとキャリアアップできるのに、あえて「職」でなく「人」に付き、足りない部分を支えていく女。 なんか、どの人にもちゃんと生活があって仕事があって人間関係の中でもがいていることをちゃんと描いている。 山岸さん、線も枯れてきていて、マンガ表現としては近藤ようことか、そっちのほう行きそうな予感。まあ初期のころからそういう要素は持っている人だったが。 それにしても、才能だけではごはんは食べられない芸術家は大変だなあとか、マンガに教えら れてしみじみしていたら、ガイアの夜明けでも同じようなことをやっていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.10.24 21:18:02
コメント(0) | コメントを書く
[BLマンガ] カテゴリの最新記事
|