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カテゴリ:少女マンガ系
『悲劇の女王』吉村明美 うーん、なんか知ってるなあこの話と思ったら、澤地久枝さんの「試された女たち」に出てきた人と被る。えーっと、九条武子? 名家の出身の悲劇の歌人。 澤地さんの本、家のどこかにあるけど捜せないよ……いや、こんなきらびやかなお話ではなかったし、さっきちょっと調べたら『悲劇の女王』とは全然似ていなかったけど、あらすじ的にとっさに思い出した。 吉村さんの作品は好きで、もう長いことずっとファンだけど、『薔薇のために』以降はちょっと登場人物がパターン化しちゃって(特に年寄りとかね)ついていけなくなって、数年に1回読むぐらいになっちゃった。 この作品も発売されていたことも知らなくて、このあいだ古書店で見つけてゲット。 日本に爵位が存在した時代に、落ちぶれ華族がお家再興のために娘を成金に嫁がせるという、古今東西ありがちなストーリーなんだが、この金で買われた美女がとんでもない悪女だった、というお話。しかも本人自覚なし。周囲が皆善人で主人公だけが悪意に満ちているという女性向けマンガも珍しいと思うんだが(笑)。 さて、お話は面白いし、こんなジコチューで傲慢なネガティブ思考の美女を、貞節を重んじる明治~大正期に活躍させたのもアイデア勝ちだけど、なんだろう……いつもの吉村節というか、涙のツボを押してくる面白さがない。なんとなくエピソードつなげてあらすじなぞりました、ってだけの感じがする。だからオリジナルではないと思ったんだな。他人の手によるベースがあって、それを脚色しているから(おそらく下女視点にしたあたりがオリジナル)、つまんないのかなあとか思ったり。ああ、実話っぽくしているところがそもそも間違っているのかも。 自分が無知なだけで、実際この時期にこういうとんでもない女はいたと思う。森茉莉とかも近いんじゃないかとかね(笑)。青鞜の時代だし、階級制度崩壊の時代だし、現実の人物と世間の評価が天と地ほどちがうなんてよくある話しだし、評伝のお約束だし。 マンガとしてのつくりの面白さはあって、一気に読めるんだけど、でもなにしろヒロインがイヤな女なので、後味は悪い。 まあこれは、ジャーナリズムに踊らされる世間の無知と、そのジャーナリズム自体がいかに腐っているか、という話だよな? 反省しよう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.04.25 08:47:06
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