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テーマ:好きなクラシック(2282)
カテゴリ:音楽全般
生の演奏会に行かなくなっていたので、ピアノ以外のカテゴリーをつくらなかったけど、9月に来日していたムーティ&ウィーンフィルのチャイコフスキーを聴いて久々に感動に打ち震えた。映像なのにすごい名演ってことがわかる。なのであわててカテゴリー追加! ムーティ、さすがに胴回りは一回り太くなったけれど、ハゲもせず白髪にもならず、相変わらずシャープな鼻梁に神経質そうなプロフィールが魅力的。彼は私の中ではインテリラテン系の筆頭なのだが、どうだろう。友人はアンディ・ガルシアが似ていると言っていたが、いやムーティのほうが何倍も品があるだろうって。 私は彼がまだ20代でベームの下で小僧をやっていたころから知っているけど、昔からおっかけのファンがたくさんいるようなマダムキラーだった。立派になったものだ(しみじみ……)。 しかし一方でミラノではニーノ・ロータにも師事して作曲を学んでいたらしいから、絶対ゲイかバイだ!と中学生だった自分は妄想を膨らませていたものだ。ヴィスコンティだって目をつけたに違いない。 はっ! そうか! BL以前にリアル音楽家の相関図が頭に入っていたから、こんなにフォモに魅かれるのか(爆)。 ごほん。いや、こうしてサラブレッドな指揮者が振るロマン派を聴いていると、ウィーンフィルのすごさが際立っているのがわかる。凡百の日本のオケなんてまるで子供だましだ。圧倒的な力量差! それに今回のこれはかなりな名演だろう。なんか鬼気迫る演奏だった。 一人一人がクラシックという規制の多い音楽を実に自由に奏でていて、それなのにムーティのタクトの下で見事な調和の取れた音楽となって響く。硬さがみじんもなくて、自信にあふれている。音の多彩さはめまいがするほどで、悪いけど小沢さんには太刀打ちのできない領分だ。 チャイコの5番なんて誰もが寝てても弾けるであろうウィーンフィルだけあって、動きがバラバラ(無論ボーイングはそろっているんだが、なんつかブレスのふり幅が違うというか、頭の振り方がそろわないというか)なのにパートごとのバランスが見事だし、ソロパートの技量も完璧だ。そして驚いたことにいつのまにか女性団員がいる! 私がオケを聴いていた頃は、カラヤンがベルリンフィルにザビーネ・マイヤーを入れる入れないでもめていたころで、入団が決まったときは歴史的な事件としてニュースにもなった。しかしその後もウィーンフィルだけは女性は断固として採用しなかったのに。時代はかわるんだな。第2ヴァイオリンに2人、ヴィオラに1人いた。でも多国籍で東洋人メンバーも多いベルリンフィルと違って、相変わらずな白人至上主義。見事にアーリア系でまとめられている。ゴージャスな金髪から見事な白髪の紳士まで盛装しているってだけで身悶えそうだ(ヨコシマな聴き方……)。 おおおコントラバスが8本ということは、100人近い編成だな。サントリーホールのステージが狭く見える。生の迫力にはかなわなくても、映像で聴くオケのなにが楽しいかって、スコアを見ながら聞けることだ。チャイコフスキーのpppppからfffffまでのレンジの広さやしつこいぐらいのスケールの嵐がよくみてとれる。たのしー!! ソロパートのあら捜しもできる。気分は千秋真一だ。なにより優雅なムーティの指揮ぶりが正面から拝める。ああ眼福。 それにしてもホワイトタイに燕尾服という一級礼装なのに、なんだかセーター着ているみたいにみえる団員がいるのはなぜだ? 吊るしなのか? あ、なで肩なのか。 3楽章まで、やけにテンポが遅いなあと感じたけど、それだけ色が見えやすい。在りし日のチェリビダッケの指揮のようだ。音楽の流れを止めるギリギリのテンポで、スコアの構造を提示してみせてくれる。オケでもピアノでもいい演奏を聴くと色が見えてくるんだが、この5番は実に深い、いい色ばかりが見えてくる。 普段はチャイコなんて重くて大袈裟で聴こうとは思わないのに、聴いてよかった! 見られて幸せ! ムーティがジジイになるまでには、もう一回ぐらい生を聴きたいものだ。できればウィーンで。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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