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2009.05.21
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カテゴリ:萌え映画

アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生

ここ数年こんなに面白いドキュメンタリーフィルムを観たことはなかった。こういう、コラージュみたいなドキュメンタリーは好みだ。
私の中のアメリカの記憶を全部さらけだしてくれた。そんなによく知っているわけではないのに、彼女の仕事と私の10代がシンクロしていた。

私は長いことレボヴィッツと呼んでいた。特徴的なユダヤ鼻と姓をもつ、世代でいえばヒッピーの頃の人。大昔から一線で活躍しているかに見えたが、ご本人はまだ全然若くて、フェミニズムの旗手のように見えた。でも今年還暦。長くローリング・ストーン誌で活躍していて、70年代に見知っていたロックミュージシャンの大半は彼女の手による撮影だ。
ああ、これも知ってる。あれも見たことある。そんな、まるで自分の中のアメリカンカルチャーの引き出しを開けてつけあわせしたような錯覚。

ロックミュージシャン、バレエダンサー、ハリウッドスター、セレブリティ、アンダーグラウンド、サブカルチャー、そしてアメリカの知。すべての人間の断片のかたち。カメラで真実を写し撮れるのか。いや、彼女は芸術家ではなく、あくまで商業写真家だ。しかもいまだ現役で元気で生きている。写真家といえば、ダイアン・アーバスが世に出るまでの半生を描いた映画は、はっきりいってがっかりだった。あ、メイプルソープの映画はないなー、ウォホールもバスキアも映画になっているのになあ。写真家って報道系以外は映画にしにくいのかな。

同じパティ・スミスを撮っても、リーボヴィッツが撮るのはメイプルソープのように魂まで透けるような作品ではなくて、演出されることで本人も気づかなかったもうひとつの彼女を引き出す、みたいなそんな写真を撮る人。

さてこの映画。出てくる被写体の数の多さとバックステージの身内受けドタバタがなんとも面白かった。すっかりオヤジになったジェフ・クーンズと人形みたいなキーラ・ナイトレイのセッションとか、ベルサイユ宮でのキスルティン・ダンストのセッションとか。
あと懐かしのドナルド・トランプとかバリシニコフとか。70年代以降のアメリカがつまったびっくり箱のようだ。

おそろしいことに、登場した被写体の9割は誰だかわかった。まあ一時肖像写真家をおいかけていたし、アヴェドンやらハーパース・バザーの人も(あー名前忘れた)、メイプルソープもハーブ・リッツもグレッグ・ゴーマンも大好きだったからな。でもリーボヴィッツは確かに想定外の写真家だった。彼女が被写体の生活の中にまで入り込み、最後は「撮られていることが気にならない」存在になるまで溶け込んでいたことは、上に挙げた写真家とは全然違うアプローチだということがわかる。乱交したりドラッグやったりも当然しているよね。「ローリングスートン」誌時代の写真は、そうじゃないと撮れない絵ばっかりだ。

スタジオで撮るわけではなく、もとがルポルタージュだったからだろうか。ドラッグに溺れる弱さも(ロックミュージシャン)、躍動する肉体も(ダンサー)、人工的な筋肉も(ボディビルダー)、虚飾も(セレブリティ)、すべてが彼女の前では真実をさらけ出す。

知らなかったことで超驚いたことが2点あった。
ひとつはジョン・レノンが素っ裸で着衣のヨーコ・オノに抱きついている写真(DVDジャケ写)が、射殺される数時間前に撮られたものだったこと。
そしてスーザン・ソンタグがリーボヴィッツの恋人だったこと。

  
私が繰り返し読んだ著作は画像すら見つからないものもあった・・・

久しぶりにソンタグのことを思い出した。写真論もフェミニズムも、死生観も元はといえばまだ小娘だったころに出会ったソンタグの著作から受けた影響は少なくない。あんなふうに生きたいと思ったこともあった。私の中ではかっこいい女性の代名詞だった。その彼女が、80年代後半に出会ったリーボヴィッツと心を通わせ、ソウルメイト同然だったなんて。晩年、ブラックジャックみたいな白黒2色の髪の毛になったソンタグがいっぱい出てきた。亡くなった直後も。リーボヴィッツはきっと泣きながら、叫びながら、愛する人の死をファインダーに収めていたに違いない。いろんな自分の好きなカテゴリーの引き出しが勝手に開いてつながったような気がしてめまいがした。

最近、自分はずっとハカマイラーだったことがわかったけど(現象があとから定義されたから。仲間がいっぱいいてうれしかった)、ソンタグのお墓はなぜだかモンンパルナスにある。来年はパリに墓参りに行きたい。





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Last updated  2009.05.21 07:48:43
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