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カテゴリ:BL小説
『成澤准教授の最後の恋』高遠琉加 高遠さんの初ルビー文庫だという。うーん期待していいものか、ルビーは鬼門なので読まざるべきか迷った。でもすんごい勢いで売れているらしく、楽天ではしばらく品切れだった。すさまじきはルビーなのか高遠さんなのか。 あ、どっちもか。 で、ちゃんとルビーだったし、高遠さんだった。 過剰にスタイリッシュにかっこよすぎに造形された攻のフランス文学の准教授(31歳)は、いかにもルビーなキャラクターだけど、告白した直後に死んでしまった想い人を忘れられない新人編集者(受ちゃん)は、過去が重すぎたり過剰にウジウジくんだったりはするけど、高遠さんならではのキャラクターだった。そう、「天国が落ちてくる」のうさぎちゃんを思い出した。こういう性格、考え方、行動をする人はこの人にしか書けない、ってほど特徴があるんだよね。「こんなピュアピュアな男いないよ」とは思うんだけど、どこかでいてほしいと信じてしまうような。その時点で高遠マジックにまんまとひっかかっているわけだが。 相変わらず心情が少しずつ変化していく過程が丁寧に描かれていて、最初、快楽のためなら誰とでも寝ちゃう、一見クールビューティーだけど、要は世の中が退屈でたまらないチャラい准教授がうざかったけど、自分でも知らないうちにウブな新人編集者が気になっていって、自分の美学に反する行動をとってしまうあたりが面白い。 それにしても、BLではやたら若い「文学部」の教授だの助教授(今は多くが准教授)が常識だったりして驚いたんだけど、うかつなことは書かない高遠さんまでもが31歳帰国子女の准教授を設定するということは、今は文学部でも簡単に博士号が取得できて教授職になれるのかな。昔は文学部が一番なりにくかったものだけどなあ。まあ今は大学の数が増えすぎているし、院を出ていなくても教えている人なんてザラにいるから、特命教授とかスターをつくるのも教育サービス業には必要なのかもしれない。 で、受くん以外はどうにもチャラいキャラばかりで、高遠さんにはもっと時間かけて泣けるお話を書いてもらいたいものだと角川の発注を恨んだが(笑)、おまけについていた受くん視点の短編が泣けるシロモノだった。本編ではレーベルのカラーに合わせたお話を書いてみせて、どんなに素性を隠そうとしても滲み出るオリジナリティー(笑)。これが意図したものだとしたら、やるなあ高遠さん。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.01.21 23:55:18
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