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カテゴリ:BL小説
『タナトスの双子 1912』和泉 桂 1週間くらい前に読み終わっていたのに、同時に買ったはずのもう一冊『タナトスの双子 1917』が見当たらない。一体どんだけ整理整頓が苦手なんだよ自分。これでも几帳面なA型なんだが。でもなんとなく下巻も予想がつくので、もう読まなくてもいっかーって程度に、和泉さんにしては設定が重い割にはお話は雑だった。タイトルは好みだけど、なんか最初からネタバレしていなくもないな。エロスとタナトスは大学時代に美学で習ったぞ。 日露戦争で連合艦隊がバルチック艦隊を沈めてからのロシアの凋落はひどいもんだった。そんな帝政ロシア最末期からロシア革命までの短い期間、しかし世界史的に重要な事件史の中にBLを織り込むとは、さすが歴史設定得意な和泉さんだが、軽さが身上のシャイノベルズではちょっと設定が重過ぎるように感じた。その前のなんちゃって平安ものはすごく面白かったんだけどなあ。背景と社会情勢を説明するだけでかなりな大仕事。 ロシア史は苦手だったけど、「オルフェウスの窓」は好きだった(笑)。その程度の知識だなー。そういやこないだBSでファベルジェのイースターエッグの特集をやっていて、思わず食い入るように見てしまった。あんなとんでもないものに血道をあげるからロマノフは滅びたに違いない、というのが自分の偏見(そして大方真実)。 この本は、ほぼ表紙買いだったんだよなー。おおおこれが制服萌えというものか~と自分で納得したほどかっこいい。それに和泉さんなら、そんなにとんでもないことにはならないだろうと思ったし。 双子の貴種流離譚はロムルス・レムスの昔からよくある設定だけど、再会時に敵対する立場にいるっていうのはちょっとツボ。でも一度見たら忘れられないほどの美形なそっくりさんが近くにいたら、周囲が気づいてしまうだろう。知れ渡らないほうがおかしいよ。だって写真はすでに相当一般化しているから、軍の幹部の顔写真なんて(おそらくモブで撮ったものとか)絶対出回っていそうなのになー。不自然だとおもったのはそこくらいかな。あと、記憶喪失ものも、BLでは頻出してもはやお約束だ。 シチ(シチュー?)とか、ロシアならではのスローフードがいくつか登場するけど、あまりおいしそうに描かれていない。そしてサモワールもペチカも出てこない。政治的背景を調べるだけでせいいっぱいだったのか、生活様式とかがあんまり伝わってこないのが残念だった。貧民窟とかいっても、ペテルスブルクの冬はマイナス20度くらいにはなるだろうから、壁が分厚くてペチカの装備がないと死んでしまいそうだ。 えーっと、ストーリーはまだ半分なんだけど、ヴィクトールがいろいろと怪しい。そして上巻の最後に撃たれたマクシムは実は死んでいない、というのが自分の予想。さて当たるかな? あ、なんか17年の革命で軍人のほうの双子の片割れが死んだりしたら面白いのにとおもうけど、BL的にはハッピーエンドにしなくちゃならないから無理かなあ。それともヴィクトールがユーリ(軍人)をかばって息絶える、に1000カノッサ(古っ!)。で、記憶の戻った兄が弟に入れ替わるとかもあるといいのに。とかバカな妄想してないで巻を探そう。ベッドのヘッドボードの後ろに落ちたかな? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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