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2010.04.01
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カテゴリ:萌え映画
new-nine_posters-daniel-day-lewis.jpg

ああ……ダニエル・デイ=ルイスの長い手足を堪能できて幸せだった。
この人の腰の細さ、足の細さ(ズボンの中で足が泳いでいる感じ)が、彼が20代の頃からまったく変わらない。私のなかの英国俳優御三家のなかでも、そのシャイな性格はダーク・ボガードと双璧だ(いやボガードがプライベートでシャイかどうかは実は知らないけどさ。自伝を読んだときそう思った)。

それにしても、こんなブロードウェイミュージカルの映画化にデイ=ルイスが出演するとは思いもせず、そもそも彼、歌は歌えるんだっけ?とか心配しながら観に行ったら、そのあたりは全くの杞憂で、女優陣は豪華すぎて目がくらむし、セットは古の映画の都チネチッタだしで、ああ淀長さんに見せてあげたかった。

これはフェリーニの「81/2」へのオマージュだよね。本来、この役はマルチェロ・マストロヤンニが演じるべきものだ。ということはよ、フェリーニを演じたマルチェロを、この映画ではデイ=ルイスが演じているわけで、映画的な入れ子構造は映画好きにはたまらない。

Daniel-Day-Lewis-in-Nine--001.jpg
マルチェロと並べてみる。ううーんぞくぞくするわ(笑)

でもフェリーニを知っている人には面白い映画だろうけど、知らない人にはどうだろう。案外半端で退屈なミュージカルに思えるかもしれない。表面的には軽いノリの女タラシの映画にも見えるから、商業的にはうまくいかないかもね。

でも個人的にはツボがたくさんあって、もう何度でも観たいと思った。
今更、ロブ・マーシャルがフェリーニへのオマージュを手がけるとは思わなかったし(ハリウッドは元来イタリア映画とは親和性がない)、これがヨーロッパの監督だったらまた全然違う絵になっていたとは思うけど、とにかくイギリス人のデイ=ルイスがイタリア人に扮してイタリア訛りのクイーンズイングリッシュを話す、というところに激萌えした。なんというかこれはM! 
ジュディ・デンチもデームのつくイギリス人だが、イタリアで仕事しているフランス人の衣装担当という役柄なので、フランス訛りの英語を話す。あああ~ゾクゾクする。完璧な英国英語を話せるのにあえて崩すというのは、なんというか粋の美学というか(違う!)。

そしてイタリア訛りゆえに、日本人にはとってもわかりやすくて、久々に字幕なしでも大方わかった。なんでこんなところに萌えられるのか、自分でもヘンだと思うが、主要女優陣で、まともな英語を話しているのはニコール・キッドマンだけで、ペネロペ・クルスはスペイン訛りの巻き舌英語だし、マリオン・コティヤールはフランス訛り、ファーギーに至っては台詞がなかった(が、一番えろかった。少年時に娼婦に筆下ろしというイタリア男の通過儀礼ごっこをしていた。これも数ある名作イタリア映画へのオマージュだ)。

ソフィア・ローレンが監督の母親役で、少年時と現在の両方に同じ姿で出てきて、昔のかっこいいアルファロメオスパイダーで北イタリアの海岸沿いを疾走しているときは、亡霊になってサイドシートで息子に説教する。さすがイタリア。ママンの呪縛は一生続くのね。

ストーリーは単純でね、過去に名作をいくつも送り出したものの、長くスランプ状態の名監督が、新作をぶちまけて記者会見までしたのに、実は脚本が1ページもかけてない。彼はミューズ(女性たち)の力を借りないと、仕事ができないと思い込んでいて、美しい貞淑な妻と、娼婦のように色っぽい不倫相手(亭主持ち)が逃亡先の小さな町でかち合って、逃げたら今度はヴォーグの女性記者に誘惑されてベッドイン寸前まで行く。

daniel-day-lewis-nine.jpg

彼は仕事からも女からも実は逃げたいのに、女はやさしくしてくれるから必要で、妻は女遊びの耐えない夫に失望し、愛人は自分を優先してくれない監督を責めるかのように睡眠薬自殺未遂を図る。絵に描いたような情事のもつれ(笑)。そして映画はもうすぐクランクイン--。もう泥沼状態で逃げ惑うデイ=ルイスがかわいすぎる。

彼は世界中の女性を愛しているんだよ。だから誰のものにもならず、誰をも真剣に好きになるんだよ。でも頭の中では常にママンが監視していて、なかなかふっきれないというか、誰をも幸せにしたいのに、できない自分に絶望している。

さて、時代は1960年代中ごろ。女優が手の届かない「スター」であり、男はダンディズムを誇り、イタ車が輝いていたころ。まだフェラーリなんてほとんど知られてなくて、登場するのはランチア、フィアット、アルファロメオ。あああ~この時代のヨーロッパ車はいいなあ。誰でも知っているチンクエチェントは出てこなくて、当時の高級車ばかりだけど、それは女性もそうで、美しいボディの女たちが高級な衣服を身にまとって登場する。男の美学が女と車だった時代。あ、なんか「プレイボーイ」みたい。あれの創設者はイタリア系だったっけ?

女性を泣かせ、失望させているように見えて、結局この監督は誰からも見捨てられている。そんな男の弱さや脆さが、きらびやかなチネチッタスタジオのセットで、いかにも60年代風のアレンジで表現されている。
で、女タラシの監督のはずなのに、彼から積極的にアプローチするわけではなく、女がほうっておかないだけなんだよね。だってアモーレだのベリッシモだの台詞を吐かないし。彼は弱っているときに、マンマの胸で泣きたいだけなのに、それが叶わないからやさしくしてくれる美女の胸に抱かれたいだけなのかも。BLだったらデイ=ルイスはああ見えて受だ。ああ~ごめんなさいごめんなさい。失礼にもほどがある。

ファッションがね、女性はほとんどパフォーマンスシーンでコスチューム着ているだけなので、それよりも男性のおしゃれさに目が行っちゃう。デイ=ルイスくらい手足が長いと、なんでもない白シャツにダークスーツでもやたらかっこよく見える。逃げ回った挙句、結局新作はなかったことにされ、数年後に落ちぶれ果てて(すんごいステロタイプ)彷徨っているときの臙脂と辛子色のマフラー、細かな千鳥格子のウールのコートに中折帽とか、そんななんでもないスタイルがかっこよすぎて涙が出るよ。これはラテン男性よりは英国紳士のほうが決まるような気がする。

niner.jpg
手前で背中を見せてうずくまっているのが監督だが、どれを選ぼうというより、俺を惑わせるなと絶望しているように見えるわ

コスチュームやフォリーベルジェールの踊り子さんたちとか、ヌードじゃないのにやたらえろいのは、やはりこの時代だからかな。全部は見せないエロスのほうが私も好みだ。ニコール・キッドマンの人形みたいな完璧なスタイルより、生身の女丸出しで悲しいぐらいにエロチックなペネロペ・クルスのほうが好みだった。でもいちばん印象に残ったのは、子どもにいけないことをしてみせるファーギーだったり。

女がほうっておかなくて、でも真剣になれない彼に絶望してやがて女のほうから離れていく。この映画では妻(コティヤール)と彼の映画の象徴みたいな主演女優(キッドマン)がそうだ。そして情熱的な愛人(ペネロペ)すら、結局平凡な夫の下へと帰っていく。「どうせあなたは変わらない」というのは、すべてのダメ男性への強烈な捨て台詞だな。私だったら衣装係(デンチ)の立場で彼を見守るだけでいいなあ。

アカデミー賞を受賞したThere will be bloodが一昨年だから、5年に1回くらいしか映画に出ないダニエルにしては勤勉なことだが、またこのまま10数年行方をくらましたりしないでね。





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Last updated  2010.04.01 19:40:01
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