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カテゴリ:BL小説
『キスと手錠』たけうちりうと たけうちりうとコンプリート計画絶賛続行中(突然思いついた)。 最近、リアル書店に足を運ぶ回数が激減したせいで、新刊BLの購読頻度が落ちている。それでもマンガは目に付く都度買っているので10冊くらいは読んでいるけど、小説に至ってはお気に入りの作家さんにしか手を出さないので、新刊は5冊くらいになっている。で、新刊で読むものがなくなると、ストックしておいた積読箱から「どれにしようかな」状態で選ぶんだが、手に取りやすい位置に積んであるのが、全部たけうちさんの本だ(笑)。コンプリートしようとしているけど、未読本だけでも10冊以上、入手していない絶版本もまだ5,6冊ほどある。やれやれ。 でも、BLでこれほど自分とフィットする(つまり刺激が少なく勧善懲悪な不思議系)作家さんは少ないので、なんか安全牌というか、新しいツボではないがいつものツボを押してくれるという点で、どれを読んでもほぼ外れがないのがいい。 これはサラーと読める軽いタッチのほのぼのBLだけど、BLになるのは最後の数ページだけで、中高生向けのミステリーかもしれない。テーマは「友情とはなにか」。たけうちさんには珍しく、呼称の誤記が1カ所あったけど(SHYノベルズでもこうしたミスは珍しいかも)、気にならなかったな。あ、でもタンザナイトはダイヤモンドじゃないと思う。硬度が全然違うだろ。 さて、200億円もの人類遺産規模のお宝を盗もうと、人ひとりを拉致するという凶悪事件を、こうもほのぼのと居心地のよいお話にできるのは、たけうちさんぐらいだろう。ある意味、木原さんとは真逆。どっちも好きなのはヘンかな。 冒頭、1行目からストーリーはすでにクライマックスだった。そしてまだ出会っていない攻と受を全く接点のない状況で、場面転換させながら読ませていく構成力に舌を巻く。これだけ奇想天外な設定とストーリーなのに、読む側を一切混乱させない。 この作品にでてくるのは、全員「いい人」なんだが、こんな状況下(拉致)での出会いで、コミュニケーション方法で、人は恋に落ちるわけはないんだが(あるとしたらストックホルム症候群とっか精神的に危ない系だろう)、たけうち作品だからして不思議に理科系で面白い。底抜けのお人よしを、タダの中学の先生でなくて、学生に見間違えるほどの童顔で「適応指導教室」の教諭なのだった。これ大きなポイント。子どもが好きで愛情と真摯さと諦めない粘り強さがないとできない職場。こんな先生ばかりだったら、世の中に問題児はいなくなる。 そうそう、この攻は、烏城あきらさんの「許可証」シリーズの攻と双子のようだわ。機械至上主義というか物質偏愛というか。ラストの一緒におふろでいちゃいちゃするシーンのたとえ方に吹いた。 そして、攻の元カレの名前は聞き覚えがある。使いまわしキャラかなあ。勧善懲悪窃盗団というのも、イギリスを舞台にした、ほぼ似た様なお話があったな。あれは日本人留学生と、大学図書館勤務の青年と、窃盗団のキーマン(ボスだったかどうかは忘れた)の話で、日本人は人類愛的にからんでくるけどラブではなくてオブザーバー。今回も、攻の元カレはそんな立ち位置で事件に絡んでくるのだった。だから基本、当て馬は出てくるけど、恋愛にからまない三角関係キャラって珍しいから、こういうキャラの使い方があるのかと、いつも関心させられる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.12.12 10:08:10
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