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カテゴリ:BLマンガ
前作(幼児が出てくるBL)を読んだときにも思ったんだけど、この人の昭和テイストというか、ノスタルジックな雰囲気は、どこから獲得したものだろう。1)もともと森ガール系ナチュラル志向の人で流行りものに興味がない、2)本当に昭和の人(つまり若くない)。突然出てきた新人さんが2のわけがないとは思うけど、それにしちゃ昭和の少女まんがで育った世代に訴えかけるなにかがある。単に「オールウェイズ」的なもののマニアかもしれないけど。 そして恐ろしいことにこの作家さん、絵もお話も少女マンガそのまんまで、それもちょっとおねえさん向けの少女まんがじゃなくて、昭和の時代の「なかよし」「りぼん」に載っていたラブコメのノリなんだよね。出てくるキャラの大げさな行動とかはじらい方とか、そのときのポーズまで、すんごく昔に読んだ懐かしいテイストだ。絵も感性もストーリー展開も。 なので、というか、故に、というか、この人の作品を読むのは、小っ恥ずかしくていたたまれない。嫌いにはなれないが、読むとなんだか顔から火が出そうなンだな(この「ン」の使いかたが、まさに昭和っぽい)。 お話は、遠距離恋愛だったカップルのかたわれが、はるばる小樽から東京のカレシのところに引っ越してくるところから始まるんだが、これがまた、絵に描いたような昭和の青春コメディ。実際、絵に描いてあるんだった。東京にいる攻くんは、祖母の不動産であるボロアパートの管理人をしていて、そこにはオカマや子持ちの夜の蝶(死語)、万年浪人生とか有象無象が住んでいる、という設定。ね? すでに既視感たっぷりでしょ? ずっと太田裕美の「木綿のハンカチーフ」が頭の中で流れていたんだが、そんなテイストだ。ラストのほうでやっとBLっぽくなるけど、こりゃ現役「なかよし」世代だって、今時こんなぬるいラブコメじゃ笑わないかもね。でも嫌いになれない。 そうそう、東山さんの「海月姫」「主に、泣いてます」とも通じるものがある。 世の中便利さから一転してシュリンク経済になっていくと、こういう古きよき時代の暮らしや素朴な(モノや環境に頼らない)恋愛が再び脚光を浴びるのかもしれない。そんなことを考えた。 かくいう私も、中学の時に初めて「男おいどん」を読んで感動したっけ。あれは60年代の青春だな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.05.22 19:18:21
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