日々是徒然

2011/10/04(火)21:11

グールドの命日に

ピアノ(109)

【送料無料】グレン・グールド/J.S.バッハ:ゴールドベルク変奏曲ーメモリアル・エディションー...価格:3,780円(税込、送料別) ネットラジオを聴きながら原稿を書いていたら、ゴルトベルクのアリアが流れた後、「ただいまのピアノと鼻歌は、今日が命日のグレン・グールドでした」ってMCをしていて、仕事中に爆笑しそうになった。いやべつに、鼻歌気になりませんから。鼻歌はグールドのアイデンティティーですから! しかし、もう亡くなって29年が経つのね。グールドによって人生の方向を決められたといっても過言でもない私は、彼が亡くなったとき、どれだけショックだったか。ほぼ1週間泣き続けたような気がする。当時はネットなんてないし、カナダ大使館に電話をしまくったり、数日遅れの英字新聞を入手するために奔走したりと、情報を手に入れること自体が難しい時代だった。 そして、いつかトロントに墓参りに行こう行こうと思っていて、未だ果たせない。生きているうちに行きたいものだが。そもそもグールド記念館みたいなものがあるのだろうか。 4、5歳のころに、親にせがんで買ってもらったのは、サン=サーンスの「白鳥」だったけど、一番最初に自分の意思で買ったLPはグールドの「フランス組曲」だった。一番最初に買ったCDもグールドの「ゴルトベルク変奏曲」だった。もちろん遅いほうのバージョンね。彼はテクノロジーと音楽の融合を夢見ていたのに、CDの歴史が始まるのとほぼ同時に逝ってしまった。 市販されている音源はすべて聴き倒し、ラジオからわずかな断片が聞こえてくるだけでも、グールドの演奏はすぐにわかる。たまたまラジオをつけたら、いきなりグールドが聞こえてきた、なんてことも一度や二度じゃない。自分のなかでは、グールドとは赤い糸で結ばれているとさえ思う(笑)。あるいは前世でなにか因縁があったとか。あはは。 今でも時折、グールドの著作を読むことがあるけど、何度読んでも原文は結構難物で(難解というより面倒くさい英語になっている)、いつまでたっても同じページで止まっている。白水社から出ている著作集を買えば日本語で読めるのに、なんかいつまで経っても手に入らない。 私は中学くらいからピアノ表現のあらゆる基準がグールドだったせいで、自分のピアノのレッスンでは先生に叱られてばかりいた。今になってみると、まだ勉強途中の子供がなにやってんだって赤面ものだけど、教師がことごとく「これはダメ」という方法をやって人を感動させる音楽をつむぐのがグールドだったから、私は断然グールド支持派で、以後、教師の言うことには耳を貸さなくなってしまった(笑)。だからいつまでたっても劣等生のままなんだけど。 でも長じて、グールドが10歳の頃にはすべて暗譜していたというバッハの平均律を、カメの歩みで数年前から再開し、すでに5年くらい経つけど、ようやく1巻が終わりかけている。いまだに4声以上のフーガになると指も頭もこんがらがってしまうのに、10歳で全曲暗譜ってどういうこと? 天才は計り知れない。 とりあえず私がバッハが死ぬほど好きなのは、グールドのせいである。グールドはバッハ以上に好きなのだが。

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