日々是徒然

2016/03/15(火)21:04

ABWH

音楽全般(64)

ABWHのライブ、楽しいなあ。90年の日本公演、行ってるはずなんだけど、当時はクラシックどっぷりだったから、ほとんど覚えて いないんだよね。 ビルがいると場が華やぐ(笑)。なんつうか、アイドルのようだ。カメラワークもいい。 リックはすでに貫禄の不良中年(衣装のセンスがチンピラなんだよな)の様相を呈しているのに、同い年のビルは清潔感あふれる学究肌の青年然としている。あああどうしよう。こまれでリズムセクションにはほとんど関心を抱いていなかったのに、俄然興味がわいてきた。自伝原書、早く来い! それにしても、アランはどうしてあんなに影が薄いんだろう。8人イエスの映像でも音はちゃんと聞こえているんだけど、目立っていたのはビルだけで (そりゃあの要塞みたいなシステムだけでも目立つけど)、40年以上も在籍しているのに4年しかいなかったビルといまだに比較される。きっと死後に「悲劇のドラマー」とか伝説になりそう。主張がなさそうなのがいかんのだろうな。 で、1989年のライブなので、当然出たばかりのアルバム「閃光」からの曲を演奏する。 あの時代に合わせて、音作りはビルの派手なシモンズとリックの管楽器系の甲高い音を多様しているので、ちょっとシャカシャカピヤピヤ小うるさいんだけど、曲の構成は70年代のイエスなんだよね。 イエスは奇数拍が好きで、昔の長い曲にはインストの部分とかに絶対偶数+奇数の組み合わせとか、シンプルな5拍子とかが入っている。閃光の中の私の好きな曲も3+4の7拍子があって、こういう仕掛けはもしかしたらビルのアイデアじゃないかと思った。(この部分は 主旋律は7なんだけど、ここで師匠は関係ないとばかりに6でリフをくりだしている。一見気づかないけど、明らかにヘンだよ師匠!これも ポリリズムなのか)。 ビル在籍中に、ジョンは何度もビルに著作権の権利を主張しろと言っていたけど(クレジットの有無ということだろう)、ビルは取り合わなかった(そして後で後悔する)。合作の場合は、なにもメロディーや構造だけでなくて、拍への言及も立派な著作権につながるのかもしれない。取り分20%と25%じゃ大分違うよね。ABWHでは全員の合作ということになっている。(そうそう、驚いたことに海洋地形学の儀式の歌詞はヴァンゲリスだった!) ビルとリックが在籍していたこわれもの~危機の曲は変拍子が溢れていて、「ここで1拍落とせばかっこよくなるぜ。なあなあやろうぜ」とか考えるのは、絶対ビルだと思う。だってリックのソロアルバムでは、3拍子以外、ほとんど奇数拍とか変拍子は出てこない。リックは根っこがクラシックだから、ジャズのように構造までは崩せないんじゃないか。 メロディと和音で変化をつける担当のリック(そのアレンジ力がまた半端ないんだけど)は、最初の出戻り以降、ジョンと組んでたくさんの曲を書いている。ジョンが核となるような断片を考え出して、それをリックが肉付け、アレンジしていくんだと思う。 空中分解しちゃったパリセッションでも、2人で曲を書いていたといっているし、2010年ごろ、2人だけでコンサートしたり、なんだからぶらぶなんである。でもさ、リックのメロディーをジョンの声で聞くのは気持ちがいいし癒されるけど、印象には残らない(すぐ忘れる、というほうが正確か)。一方、変拍子やられちゃうとずっと記憶に残る。少なくとも私はね。 だからこそ、45年にもなろうとしているのに、当時一番若くてやんちゃだったビルの偉業がいまだに引き合いにだされるのかもしれない。 70年代、大掛かりなツアーをしていたときにも、ツアー自体が金くい虫なのでそんなに手元に残らなかったみたいだ。そりゃ自家用ジェットやベビー シッターの果てまでファーストクラスで、何十人ものローディーを連れての移動だから、想像はつく。だからこそキャパも重要で、スタジアムとかア リーナとか、数万人規模の会場でライブをやっていた。そんなのやだな私。肝心のアルバムの売り上げは徐々に陰りを見せる。当時はまだグッズビジネスも本格化していないと思うし。 NHKホールで4000人、東京フォーラム5000人か。私が許容できるのここまでだな。 だって73年当時は厚生年金とか渋谷公会堂でもやってたんでしょ。2000人規模の。 まあ、はるばる極東までやってきてコンサートするのは本当に移動だけでも経費がかかると思うけどさ、私の数少ない過去の巨大会場でのロックコン サート(武道館、東京ドーム、さいたまスーパーアリーナ)の経験では、後ろのほうだと反響のせいで音が遅れて聞こえる。これ気持ち悪かった。 【追記】リックのオリジナルも変拍子は多かったわ。ただし奇数拍ではなくて、4+4+4+2とか、フレーズの最後の拍をカットするやり方が多いかな。これを連続することでズレ感と無窮動な感じを出している。魔術師マリーンとかがそう。キャサリンハワードは聞いてたら5+5+5+4だった。ということはイエスのあの独特の奇数拍の使い方はビルだけでなくてリックも貢献しているかも。

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