カテゴリ:演劇
2005年6月19日 彩の国さいたま芸術劇場
「近代能楽集」とは、三島由紀夫氏が古典の能を忠実に取材しながら現代劇に脚色した戯曲です。 『卒塔婆小町』『弱法師』を過去2回 この劇場とシアターコクーンで上演しましした。 『卒塔婆小町』は夜の公園、5つの白いベンチにはカップルが座っている。 舞台頭上から、椿の花がポツ・ポツと落ちてくる演出になってます。 この椿の落ちる音が、詩人の死が近づいているのかな・・・なんて想像してしまいます。 主演の小町役には譲晴彦さん、詩人には高橋洋さん。 小町はその昔花柳界で美貌の持ち主と言われた女性、今はボロを纏い浮浪者のよう。 そんな小町の話を聞く詩人は、だんだんと小町の世界へ引き込まれていく。 場面転換で鹿鳴館時代になるが、この時の小町はボロのままなのに、気品を漂わせ美しい女性となっている。譲さんの動き、立ち姿、声が一瞬にして変わるのが見所かしら。 鹿鳴館から現代に戻ってからも 詩人は小町を美しいと思う気持ちは変わらない。 「私を美しいと言ってはダメ、言ったらあなたは死ぬのよ」と小町に言われても、最後には詩人は「あなたは美しい」と言って死んでいく。 また、この死に方が美しいのよね。 ゆっくりと、仰向けに倒れていく姿は見惚れてしまいます。(かなり、役者贔屓の目で観ていますね^^;) 『弱法師』 戦後、孤児だった5歳の少年を引き取り育てた夫婦と実の親が家庭裁判所で子供の親権を争うところから始まる。 でも、この少年は空襲での火によって両目の視力を失っている。 普通にしていれば、盲目の少年なのですが、発する言葉は狂気・・・・ この作品、何度観ても理解できない私です・・・・ でもね、藤原君は舞台向きの俳優さんですね。 たった一人で演技しても、あの大きな舞台が大きく感じないオーラを放ってます。 今回、家裁の調停員の役が高橋恵子さんから夏木マリさんに代わっている。 この調停員(桜間さん)はセリフは多くないけれど、盲目の少年を見据えている姿だけでも十分に存在感を放っていた。 この「近代能楽集」は全国公演を終えたあと、7月末にはニューヨーク・リンカーンセンターで上演されます。 アメリカでどのような評価をされるのでしょうか・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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