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昭和24年(1949年)7月、ひとつの映画が封切り上映されました。「青い山脈」です。正続編が続けて公開され、大変なヒット作になりました。 また、映画と同名の主題歌も、西条八十作詞・服部良一作曲の、明るい希望に満ちた感じの歌詞とメロディで、藤山一郎と奈良光枝が歌い、これも大ヒット、のちのちまで長く歌われました。 若く明るい歌声に 雪崩は消える 花も咲く 青い山脈 雪割り桜 空のはて 今日もわれらの 夢を呼ぶ ・・・・・ (時雨音羽 編著 日本歌謡集 より引用) 「青い山脈」 は YouTube で視聴することができます。 映画の原作は、作家・石坂洋次郎が朝日新聞に連載した同名の小説で、東北地方のある町での、旧制高校の学生と女学生との淡い恋、そして、それが引き起こす女学校での事件を、ユーモラスなタッチで描いたものです。 配役は、旧制高校の学生に池部 良(いけべりょう)、女学生に新人の杉 葉子(すぎようこ)、女学校の先生に原 節子、町の芸者に木暮美千代。そのほかに、竜崎一郎・伊豆 肇・若山セツ子らが出演しています。 「青い山脈」の出演者 (左から伊豆肇・若山セツ子・杉葉子・池部良・原節子・竜崎一郎) 「青い山脈」の池部良と杉葉子 「青い山脈」の杉葉子(左)と原節子(右) 原作者・石坂洋次郎は青森県・弘前市出身。弘前市や秋田県・横手市の女学校の教師を勤めた経験を元に、この小説を書いたようです。 今になって、あらためてこの映画を見てみると、ずいぶん甘い作品だったなと思います。しかし、当時は敗戦後の暗さの中に、ようやくわずかな明るさが見えてきた時代。私だけでなく、当時の若者は、この映画で未来に自由と希望を見たのです。 映画の中で、女学校の英語教師役の原節子の着ている洋服が、当時としては綺麗(きれい)過ぎ、派手過ぎ、の観がありますが、これも日本の未来を表わすものとして、観客は見ていたのでしょう。 「青い山脈」は、その後、出演者を代えて4回も映画化されていますが、この第一作に及ぶものはなかったと思います。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 池部良は、このとき32歳で、旧制高校生を演じました。それがさほど不自然さを感じなかったのは、彼が抜群の美男子だったからでしょう。その後、数多くの映画に出演。歳とってからはエッセイストとなり、昨年(2010年)10月8日死去。享年92歳。 杉葉子は、映画女優として多くの映画に出演後、アメリカ人と結婚。現在カリフォルニアに居住し、健在です。 原節子は、この映画ののち、小津安次郎監督の映画に多く出演し、「晩春」 「東京物語」 などの名作を残しました。40歳を過ぎてから、女優としての活動をやめ、現在は鎌倉に居住とのことです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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