「必殺仕置屋稼業」第3話"一筆啓上、紐が見えた"
はい、本日は「必殺仕置屋稼業」第3話"一筆啓上、紐が見えた"の感想を書きたいと思います。まず初めにこの題名を見た時に「紐?って事は女に貢がせる"ひも"の事?」と思ったらやっぱりそうでした。それも本当ひどい奴ねそのひどい奴、加吉を演じたのは中尾彬さん。今みたいにギラギラしてなくて(笑)さっぱりとした、いかにも女ったらしで悪い奴を好演されています。見事なまでに。本当、この加吉はひどい。冒頭、女性の島送りの囚人が町中を通るシーンがあるのですが。その女性、"おさと"を(恐らく散々だまして)罪を犯させ島送りにし。彼女には妹"おつた"がおり、金を得るためにその妹までだまし食い物にする。島送りになるおさとには"夫婦になろう"と心にもない事を言い、江戸に残されたおつたには"姉が島で体を壊し江戸に帰りたい加吉と夫婦になりたい"と言っているという企てをし島から出られる裏金の準備が必要と称し用意させ、更には役人に食い物にさせ、ついには自分の博打の借金におさと自身を差し出し女郎へと・・・。何でそんなにだまされるんだ?と思うでしょうが、すごく周到なのです。初めは善人面をし信用させる。そして信用したと思うと金を用意させる。次から次へと理由を作る。髪を売らせ、体を売らせ、最後には女性の人生までも売る。人をだます、女性をだまして貢がせる、という手段の見事さに唸ります。これはさ、必殺というドラマに限らず、現実にもあるよなあと思わせるものでした。さて、そんな加吉を殺す依頼人についての設定が今回は一捻りされております。島送りになったおさとからの頼みだとおこうは主水に言うのですが・・・実は実は、という、はっきりとは劇中描かれていませんが恐らくおこう自身が頼み人なのでは?という展開なのです。冒頭の島送りの集団の中のおさとを追いかける加吉を見たおこうの表情。あらゆる感情を内に秘めた、怒りとも取れる表情を見せます。そして捨三の調べで加吉は真面目に働いていると主水に言われ、そんな事はないと激しく言い返す姿。仕置き後、島にいるおさとが大金を用意出来る不思議をおこうにぶつけたのには納得です。でもおこうは決して語らず、主水も深くは尋ねず・・・。でも二人の会話から言葉というものを超えたものを感じさせてくれます。そしてこのお話には中々ぶっとんだシーンがあります。沖雅也さんが演じる市松が初めて加吉と出会うシーンでの事。色町を歩いている市松を見つけた加吉・・・何やら何ともいえない妖しい目つき、そして市松に声をかけ肩に手をおく。自分の家に連れて行こうとして、その真意を知り加吉を平手打ちにする市松。そしてさっさとその場を立ち去ろうとする市松なんですが。そこへ加吉を調べていた捨三の登場。そして市松のびっくりする台詞。「あの野郎、俺を"陰間"だと思いやがって!」対して「あれま!」「そう言われてみりゃ見えねぇ事もねえなあ。」と返した捨三には思わず笑ってしまいましたが(苦笑)このシーンは(市松の台詞にはかなりぶっ飛ぶものの)二人の軽快なやり取りが何だか「俺たちは天使だ!」を髣髴とさせるもので何か嬉しくなっちゃったよ♪あ・・・陰間ってなあに?と思うそこの貴方。陰間とは"江戸時代に宴席で男色を売っていた美少年の総称"でございます。良い子の皆さん、ごめんなさいねこんな話をブログででも、台詞とはいえ沖雅也さんの口からまさか陰間なんちゅう言葉を聞くとは思わなかったよ~しかし、本当この話も見事でしたね。そして面白かった。主軸となるおつたの堕ちるところまで堕ちる過程。これでもかとだます加吉。頼まれたからとほいほいと仕事をする訳ではなく、きちんと裏を取る主水。仕置きのシーンは見事に尽きるのですが、仕置きをする過程も無理がないところがとても見事です。印玄の仕置き方法はいつも思わず笑ってしまうのですが、主水のふてぶてしい言葉の次に仕置きをする人物を殺す手順の流れの見事さ、一気に殺そうとするも背後にいる事を気付かれ思わず綺麗な笑顔を浮かべ気をそらしてから殺す相手である加吉を殺す市松。ああ・・・そうそう。この仕置きでの市松の作り笑いの美しさったらないんですというか、演じる沖雅也さんの笑顔って素敵だし綺麗なんですよね沖雅也さんの数々の美しい表情が劇中多々観られるのが嬉しいけれど、それ以上に一瞬見せる何とも言えない綺麗な笑顔に氷子さんはとても魅了されます。あ~・・・、この後DVDにはまだ第4話があるんだけれど、こんなにも楽しめると次のDVDも欲しくなってきて(笑)これじゃ全話揃えちゃいそうで自分が怖いこの話が収録されているDVDはこれざんす↓