2012/12/02(日)11:35
パトリオット・ゲーム
【パトリオット・ゲーム】
「おれが祖国アイルランドの仲間を売ると思うのか?! おれを分かってない」
「分かってるさ」
「あの二人が何をしようとおれは構わん。だが同胞を裏切るくらいなら自分で自分の頭を撃ち抜くよ!」
「それが答えか・・・」
ハリウッド・スターの誰もがまばゆりばかりのルックスと、長身と、現実と見紛うばかりの演技をするのかと言えば、それほどではないこともよく知られている。たとえば、ダスティン・ホフマンやロバート・デ・ニーロなんか、かなり背が低いし、普段着で無精髭を生やして、そこら辺をのそのそ歩いていると、誰にもバレないほど一般人に溶け込んでしまうらしいのだ。
そういう意味で、この作品の主人公を演じたハリソン・フォードあたりも、かなり一般的(?)だと思うわけだ。無論、エキゾチックなルックスでブイブイ言わせているジョニー・デップばかりがイケメンではないことぐらい分かっている。だが、ハリソン・フォードのルックスは彫りの深い西欧人の中にあって、わりと一般的なのではと思う所以である。
じゃあ何がこれほどまでにハリソン・フォードを息の長いハリウッド・スターたる地位に至らしめたのか?
それはやっぱり、視聴者との距離間を感じさせない、ある意味、等身大の男性に徹しているからかもしれない。もちろん、演じている役柄は様々だ。だが、にじみ出る人柄とか持ち味は隠し切れない。ハリソン・フォードは常に常識のある、節度を持った役者としてハリウッドに君臨している。その証拠に、下積み時代の長かった彼は、一度役者を辞め、大工としての技術を身につけ、家のリフォームや家具造りをしていた。(ウィキペディア参照)それがまた職人技で、見事な腕前を持っており、業界ではその方面で有名になったとか。
きっかけが何であれ、コツコツ頑張る姿というのは清々しい。一生懸命は美しいのだ。
やがてハリソン・フォードは『スター・ウォーズ』のオーディションを受け、見事ハン・ソロ役を手にしたのだ。
さて、前置きが長くなったが『パトリオット・ゲーム』について。
元CIA分析官のジャック・ライアンは、妻子をつれロンドンに来ていた。
一仕事を終えたジャックは、妻子と待ち合わせのバッキンガム宮殿広場にやって来る。
とその時、英国王室のホームズ卿がテロリストに襲撃される現場に出くわしてしまう。
ジャックはテロ集団に立ち向かい、負傷しながらもテロリストの一人を射殺。
そのうち警官が駆け付けるが、逃げ遅れ、逮捕されたショーンという男が、挑むようにジャックを睨みつける。
なんとジャックが射殺したのは、このショーンのたった一人の弟で、まだ十代の若者だったのだ。
ショーンは、ひそかに弟の復讐を誓うのだった。
作品に登場するテロリストというのは、IRAの過激派グループということになっている。各種の映画に登場するIRAとは何か? 今さらだが、その組織の背景には根深いものがある。
私たちが高校時代、世界史で習った清教徒革命を覚えているだろうか? クロムウェルが先導したあれだ。イギリス本土で成功したプロテスタントによる革命を、アイルランドにまで広げたわけだ。でもアイルランドはカトリックで、イギリスの圧政に泣くしかない。だがもう我慢できない。こうして反英の動きが活発化したというわけ。
『パトリオット・ゲーム』においては、そんなところからIRAの過激派が、憎んでも憎みきれない英国王室を狙ったテロを起こすのだが、そのうちの一人が個人的な恨みつらみで、主人公に復讐の念を燃やすという単純なお話。
私はこの作品を見ながら、ハリソン・フォードの代表作でもあるインディ・ジョーンズシリーズを思い出していた。目の前に立ち塞がる困難と懸命に闘いながら、一つ一つクリアしていく姿がハリソン・フォードの実生活とオーバーラップする。ブラピやレオナルド・ディカプリオ、ジョニー・デップなどの若手が活躍する中、私はどうしてもハリソン・フォードに目が向いてしまう。ハリソン・フォードは、常に私たちの傍にいる役者さんのような気がするからだ。
1992年公開
【監督】フィリップ・ノイス
【出演】ハリソン・フォード
また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)