吟遊映人 【創作室 Y】

2013/01/20(日)06:28

フレンチ・コネクション

映画/犯罪(12)

【フレンチ・コネクション】 「君は今も銃は足首に所持しているのか? 足首の訳も聞いたよ。女を抱く時、刑事と分からないからだって・・・そんなのウソだろう。それはだまし撃ちにいいからだ」 「おい、もうよせ」 70年代のハリウッド映画は、“ニュー・ハリウッド”と呼ばれ、映画を再構築する多様な試みが成された時代である。 日本では1972年に公開された『フレンチ・コネクション』は、そんなニュー・ハリウッドの時代を象徴し、代表する作品なのだ。 この作品の主人公ポパイ役に扮したのがジーン・ハックマンで、この映画に出演したことにより一躍大スターの座にのし上がった。 というのも、『フレンチ・コネクション』はアカデミー賞を5部門において受賞した、非常に完成度の高い作品なのだ。 こうしてオスカー俳優となったジーン・ハックマンは、ハリウッドのドル箱となり、次々と話題作の常連となる。 彼のもう一つの代表作である『ポセイドン・アドベンチャー』の宣伝に来日した際、かの映画評論家である淀川長治が取材している。 淀川長治の著書によると、「ジーン・ハックマンの映画出演の作品のかずかずと私の好みとがぴったりと合っている」と記述されていることからも高評価。さらには「ハックマンの顔が私のどこか体質とぴったりして好きとか嫌いを通りこした“好き”の本質的な“好き”」とも語っている。べた褒めだ。 プロの評論家さえ呻らせるジーン・ハックマンの演技は、それはもうホンモノだ。間違いない。 ニューヨークのブルックリンが舞台。 ニューヨーク市警の刑事ドイルは通称ポパイと呼ばれ、相棒のラソーとともに強引な手法で麻薬の密売人を検挙していた。 二人は、ナイト・クラブで金遣いの荒い男に目をつけた。 男は、ブルックリンで妻とともに雑貨店を営んでいるが、捜査を進めるうちに夫婦には前科があり、麻薬ルートとのコネクションを図っていることが分かる。 ドイルとラソーは、大掛かりな麻薬密売を暴くため、執拗に尾行を開始するのだった。 この作品は、確かに見ごたえがあり、70年代を代表する映画には違いない。 だが女性にはどうだろう? ストーリー性とかドラマチックな展開を期待する女性には、苦痛かもしれない。 見どころはやはり、ジーン・ハックマンが車で犯人の乗る列車を追いかけるシーンだろう。 クライマックスでは、敵に狙いをつけ、一発の銃弾で仕留めるところなどカッコイイ。 こういうガン・アクションは、バンバン撃ち合うだけがスリリングなわけではない。 そこに込められた作品の意思を汲み取るのも、視聴する側としての役割かもしれない。 CGを駆使したデジタル作品に飽きた方には、かえって新鮮ささえ感じるアナログ映画である。 ジーン・ハックマンの本物の演技にも注目したい。 1971年(米)、1972年(日)公開 【監督】ウィリアム・フリードキン 【出演】ジーン・ハックマン また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。 See you next time !(^^)

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る