吟遊映人 【創作室 Y】

2013/05/27(月)06:29

コラム紹介『遠回りは、財産だよ』

コラム紹介(120)

【新潟日報 日報抄】 若いときに遠回りした道は、実は夢実現への最短ルートにつながっていたのだろう。26年前の本紙で、冒険家三浦雄一郎さんが自身の少年時代を振り返った記事を読み返し、そんな感慨を深くした。   小学4年生から5年生にかけ、胸膜炎を患った。学校に半分も通えず、中学受験に失敗した。浪人中の1年間を岩手の山奥で過ごす。畑を耕し、いかだに乗る。冬は一日中スキーに興じた。遊ぶだけではない。この間に、芥川や漱石の全集を読破した。   そういうことが許される環境に恵まれたこともあろう。少年は「どん底の思い」から復活し、「人生焦ることはない」と確信した。北海道大学の獣医学部助手からプロ・スキーヤーに転進してからの数々の活躍はご存じの通りだ。   80歳にして「冒険家」の肩書が不自然でないその人が、史上最高齢でエベレスト登頂に成功した。標高8848メートルのてっぺんに至る道は、岩手の山裾から第一歩が始まっていたに違いない。北大といえば頭に浮かぶ「少年よ大志を抱け」の文句を、文字通り実践してきたといえる。   県内には講演などで何度も訪れている。語り掛けるのは、目標を持って生きることの大切さである。5年前、上越市に来た際、健康の源として三つを挙げた。「食事、運動、生きがい」―これを体現した山の鉄人は今回も元気いっぱいだった。   3人の子供たちは義務教育を1、2年遅れて終えている。三浦さんの特大スケールの生き方は、お年寄りだけでなく、悩み多き若者たちにも励みとなる。遠回りは、財産だよ。 (5月24日付) ~~~~~~~~ まずもって、史上最高齢登頂の偉業を成し遂げられた三浦さんに謹んで敬意を表したい。 一定以上の年齢の方は、久しぶりに血が沸き肉が踊る想いに浸られたのではあるまいか。誠に壮挙なり快挙なり万々歳なりだ。 『人生焦ることはない』 私としては三浦さんの壮挙もさることながら、氏のこのひと言が本当にありがたい(^o^) ご同輩も多いのでは(笑)? 周りを見て、来し方を振り返っては、少なからず焦燥し何かしらの疑問を感じはじめた近年だ。 三浦氏のひと言は、真冬の陽だまりのように身も心もあたためてくれる。 ご同輩の合の手が聞こえるようだ。「そうだ、その通り!」 そしてコラムの結びが何ともオツではないか! 『遠回りは、財産だよ』 ま、要は遠回りして『何を』するかですね(笑) ご参考まで、三浦さんの快挙を扱ったコラム各紙の結びをご紹介する。 ■北國新聞 時鐘 三浦流の「人生の数え方」を教われば、気分が晴れやかになる。「まだまだいける」と快挙にあやかりたくなる。 ■産経新聞 産経抄 どんな状況に陥っても、高い頂に挑み続ける気持ちを忘れてはならない。それは国も人も同じではないか。三浦さんの喜びの声を聞いて、そう確信する。 ■静岡新聞 大自在 自分なりの目標、ライフワークさえあれば困難や苦労も味わいとなる。超人から学ぶことは多い。 ■佐賀新聞 有明抄 三浦さんの講演録にこんな一節を見つけた。「それぞれの夢に向かっての人生というのは、あきらめないで一歩ずつの精神が大切。そしていつか頂上に立ったら、次の夢に向かい、歩みを繰り返す」 ■高知新聞 小社会 傘寿の快挙を喜ぶとともに、次の夢をどんなふうに語るのかも楽しみだ。 ■山形新聞 談話室 今回の登頂成功は中高年に限らず、全ての世代を励まし背中を強く押してくれた。そう思う。 ■徳島新聞 鳴潮 周りを見渡せば登山、フルマラソン、ボランティア活動―と、達者な「三浦さん」はたくさんいる。自分にとっての「エベレスト」をしっかり持つことの大切さを教えられる。 ■上毛新聞 三山春秋 三浦さんは登頂後、「80歳でもまだまだいける」と述べたという。目標を持ち、挑戦する気概と行動があれば、老いを感じることはないのかもしれない。 ■福島民報 あぶくま抄 〈年齢と向き合いながら挑戦するのは楽しい〉。三浦さんの声がヒマラヤ山脈から聞こえてきそうだ。 ■神戸新聞 正平調  三浦さんの登頂をまねることはできない。でも、手の届く世界で手の届く挑戦ならできる。せめて九掛けでも…と、あの笑顔に刺激された人は多かろう。 ■長崎新聞 水や空 人類のフロントランナーの快挙に、「もう年だから」と、自分で線を引いてしまっていた心の中の境界が吹き飛ぶ思いをした高齢者も多いだろう。フロンティア・スピリットあふれる高齢化社会は楽しそうだ。 ■東京新聞 筆洗 三浦さんが登頂で伝えたいのは、広い意味での冒険だという。家で打ちひしがれている人が、ちょっと外に出てみる。きのうまで通ったことのない道を、歩いてみる。自分の世界を日々少しずつ広げてみる。〈その先につながっている可能性は、何歳であろうと無限大〉だと。

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