2006/07/17(月)17:05
『13歳の夏に僕は生まれた』 移民の現実・少年の成長
W杯でのジダンの事件以来、
ヨーロッパにおける移民問題が度々取り上げられています。
島国である日本ではなかなか理解できないことも多いです。
この作品はイタリアの移民問題を、
違う角度から、13歳の少年を成長を通して描いてます。
北イタリアに住む裕福な家庭の息子・サンドロは、
父親とその友人とともにヨットで旅に出ます。
そしてサンドロは、夜の海に投げ出され、
運良く不法移民を山のように乗せた船に救われます。
そこで出会ったルーマニアからの移民の兄妹に
親切を受け、今度は二人を助けようとしますが…。
普通なら、夜の海に落ちるのが大事件で(当り前ですが)
大げさに描きそうなところを、
いたくあっさりと描き、その後の移民船での”船旅”も
映画として描きがいがありそうなのですが、
監督は「これは冒険物語ではない」として、
あっさりと淡々としてます。
陸、イタリアに着いてからがサンドロの本当の物語が始るのです。
13歳という、子どもでありながら大人になりつつある少年が、
少しづつ自分の身の回りの世界以外に、
世界は存在すると言うことを知っていきます。
生きていくためには、どんな手段も使う人たちがいる、
真実は言葉ではなく、
自分の心で分からなくてはならないということを。
大人になるには、嫌な事もどうしようもない事も、
全て受け入れなくてはいけない…ということも。
現在多くのヨーロッパと同様、
イタリアも移民問題が大きくなっています。
かつて、移民を出していた国が移民を受け入れる側になり、
法整備が立ち遅れているようです。
合法的に滞在する移民ですら100万人を越え、
毎年20万人新たに入国してくる・・・
不法滞在者を数えれば一体どれだけの数になるでしょう?
『13歳の夏に僕は生まれた』 イタリア 2005年 120分
監督 マルコ・トォリオ・ジョルダーナ
キャスト アレッシオ・ボーニ/ミケーラ・チェスコン
ロドルフォ・コルサート/マッテオ・ガドラ
※2005年カンヌ国際映画祭フランソワ・シャーレ賞受賞