「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」から2011年の映画の旅が始まった
私の元旦恒例、長崎セントラル劇場での映画鑑賞。2011年最初の映画は、ジョン・レノンの少年時代を描いた「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」。しかし、これは、事実をいかに描くかにポイントを置いたジョン・レノンの伝記映画というより、彼をモデルにした青春映画というべきかも知れない。後に偉大なる音楽家として一時代を創った人物がどのような青春を過ごし、いかにしてビートルズ結成に至ったのかという実録ドラマを期待する観客には物足りないかも知れないが、ジョン・レノンという人物をモデルにした青春映画としては非常に満足できる。厳格な伯母に育てられ、息苦しさを感じていた彼は、奔放な実母と再会し、音楽の世界を教えられる。二人の母親の間で引き裂かれそうになるが、実は、二人の彼に対する表現が異なるだけで同じ愛情で接してくれたことを知るのであった。ラストは感動的である。ジョンは、ハンブルクに演奏に出かけると伯母のところ来て、パスポート申請のための書類にサインを頼む。伯母はその彼に「保護者の欄かしら、親の欄かしら?」と尋ねる。するとジョンは「両方だ」と答える。このシーンでは、新しいバンドの名前も伯母は聞くのであるが、その答えはない。そこはなかなか憎い演出である。この作品は実録風に描き方ではないが、ポールとの出会いの場面は、歴史的瞬間に立ち会った気持ちにさせる。元旦から感涙の作品。そのせいか、コーヒーの空き缶をカップホルダーに置きっぱなしで退出してしまいました。次のお客様、あるいは劇場従業員の方、申し訳ありません。この失敗、昨年夏の「オーケストラ!」以来でした。