2009/06/24(水)04:02
ミルク■ダン・ホワイトという人物
この映画に登場する人物で私が主人公ハーヴェイ・ミルク
以上に関心を持ったのはダン・ホワイトである。
ミルクを殺すことになる彼もまた、ミルクと同様に正義を
めざして議員になった人物である。議員にもなり、私生活
では妻子を持ち、世間的には人から羨望される立場であろ
う。しかし、彼にしてみれば、めざす「正義」については、
ミルクに持っていかれ、そして周辺の人々の支持はミルク
が彼の周辺から得ている支持よりは少なく、薄いという点
に嫉妬と焦燥感のようなものがあったのではないか。
ダン・ホワイトの方がミルクに比べれば、多数派側に立っ
ているにも関わらず、彼が置かれた状況は彼としては納得
いかないものであろう。ダン・ホワイトに人間的魅力が欠
けていると言ってしまえば、それまでなのであるが、もし
かするとダン・ホワイトという人物は、多数派の中にいる
人の典型ではなかろうか。
彼の心情はなかなか興味をかきたてる。
この映画はミルクを通して、彼を殺すに至るダン・ホワイ
トという普通の多数派の一人の人物を描いているのではな
かろうか。
そのダン・ホワイトをジョシュ・ブローリンが怪演ともい
うべき演技で表現している。