2010/11/20(土)13:50
行きずりの街■この映画はすごくない
原作は非常に評価が高いようで「このミステリーがすごい」
では絶賛の嵐のようであったが、私は読んでいない。
さて、映画であるが、いかにもノワールタッチの色調と画面
展開でハードボイルドぶりを見せてくれるが、それはあくま
でスタイルだけのことで作品としての完成度は低い。
劇中で小西真奈美扮する人物が主人公に「あなたは国語の教
師のくせに言葉をきちんと使っていない」という趣旨のセリ
フを言う場面がある。つまり自分の意思をきちんと言葉で言
えということであるが、このことはこの映画全体にも言える。
映画なのだから、きちんと映像とセリフで伝えろよというこ
とだ。テーマに関わるキーとなるセリフや映像がないのであ
る。
映画において省略は必要であるが、この作品の場合は単なる
「手抜き」であろう。ラブストーリーなのか、ハードボイル
ドなのか中途半端ではないか。
「顔」、「闇の子供たち」のあの異様なまでの集中力を持っ
た阪本順治はどこへ行った?