2005年06月30日

美空ひばりと笠原和夫

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カテゴリ:映画スタッフ
美空ひばりの17回忌を迎えたが、私は彼女の名前を見ると
笠原和夫のことを連想する。笠原和夫とは、「総長賭博」や
「仁義なき戦い」などの名脚本家の笠原和夫である。

美空ひばりは当然のことながら歌手なのだが、映画出演作は
なんと166本もあり、映画女優といっても決しておかしく
ない。
同時代の大スター中村(萬屋)錦之助の生涯の映画出演作が
144本であることを考えれば、この166本という数字は
驚くべき数字だと思う。

166本のうち最も多いのは東映映画で90本である。
うち12本は笠原和夫によるもの。
この当時、笠原は脚本家としてデビューしたばかりで共同脚本
が多い。

ここで笠原和夫はスターの魅力をいかに見せるかということ、
そして同時に作品としても観客に楽しんでもらえるものをと
いうシナリオ作法を学んでいったのである。

その後、彼は東映の路線に従って、任侠映画を手がけ、東映の
代名詞ともなる路線を確立し、高倉健や鶴田浩二をスターに
押し上げる。
70年代に入り、その任侠路線も衰退したときに、その突破口
として手がけたのがあの「仁義なき戦い」である。

その後、東映の路線が解体して後も、各社の大作路線を手がける。

美空ひばりは不世出の歌手として評価されるが、映画女優として
の彼女を支えた笠原和夫もまた、戦後の東映映画を支え続けた
天才脚本家といえよう。
ひばりの時代、任侠映画の時代、そして実録路線の時代とそれぞれ
を切り開き名作を生み続けた笠原和夫の偉業には驚くばかりだ。

彼の全仕事についての長大なインタビューをまとめた
「昭和の劇 映画脚本家・笠原和夫」
を、また読んでみよう。
これは圧倒的な内容を持つ本である。

未読の方には是非、お薦めしたい。





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最終更新日  2005年06月30日 00時06分32秒
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