2011年08月04日

トスカーナの贋作■快感のキアロスタミ・マジック

監督はイランのアッバス・キアロスタミ
主演はフランスの女優ジュリエット・ビノシュと
イギリスのオペラ歌手ウィリアム・シメル。
舞台はトスカーナ。
「これは一体、どこの映画だ?」という興味津々で
臨むのである。
タイトルから素晴らしい。だからといって、洒落た
デザインのものではない。誰もいない講演会の講師
席を映し続けるというもの。そこには何がしかの緊
張感が潜んでいる。映画全体を見終わって、このタ
イトル部分が、ドラマの序章の、嵐の前の静けさの
ようなものだと判る。
キアロスタミの映画ではドキュメンタリーとフィク
ションの間の境界線を飛び越え、あるいはそれを消
し去るという魔術のような演出が魅力的なのである
が、ここでもそのキアロスタミ・マジックは見事に
発揮されて、見るものを惑わせる。
夫婦と間違われた男女が、それをきっかけに夫婦で
あることを偽装するゲームに興じていくが、観客に
は、どこまでがゲームの偽りなのか、本当の感情な
のかが判然としなくなる混迷状態に陥っていく。
実は、その混迷状態にひたっているのが私には快感
である。

 






TWITTER

最終更新日  2011年08月04日 08時03分55秒
コメント(0) | コメントを書く